古典和歌stream

金槐和歌集 - 源実朝

色をだに袖より伝ふ下萩の
忍びし秋の野辺の夕露

色さえも袖から伝わってしまう。下萩の葉に、忍んで過ごした秋の野辺の夕露が置くように。

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金槐和歌集 - 源実朝

わが袖の涙にもあらぬ露をだに
萩の下葉は色に出でにけり

私の袖の涙でもない、ただの露でさえ、萩の下葉は色に出てしまったことだ。

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金槐和歌集 - 源実朝

秋萩の花野の薄露を重み
おのれしをれてほにや出でなむ

秋萩の咲く花野のすすきは、露が重いので、自然としおれて穂を出してしまうのだろうか。

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金槐和歌集 - 源実朝

待つ人は来ぬものゆゑに花薄
ほに出でてねたき恋もするかな

待つ人は来ないのに、花すすきが穂に出るように思いを表に出してしまって、いまいましい恋をすることだなあ。

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金槐和歌集 - 源実朝

撫子の花に置きゐる朝露の
たまさかにだに心隔つな

なでしこの花に置いている朝露の玉のように、たまにでも心を隔てないでほしい。

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金槐和歌集 - 源実朝

菊よりも人の心は初霜の
置きあへず色の変はるなりけり

菊の花よりも、人の心は、初霜が置ききらないうちに色が変わってしまうものだったのだなあ。

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金槐和歌集 - 源実朝

消え返りあるかなきかに物ぞ思ふ
移ろふ秋の花の上の霜

すっかり消え入って、あるかないかの様子で物思いをしている。色あせてゆく秋の花の上に置く霜のように。

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金槐和歌集 - 源実朝

七夕にあらぬわが身のなぞもかく
年に稀なる人を待つらむ

織女でもない私の身が、どうしてこのように、一年にまれにしか逢えない人を待っているのだろう。

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金槐和歌集 - 源実朝

忍びあまり恋しき時は天の原
空飛ぶ雁の音に鳴きぬべし

忍びきれずに恋しい時は、大空を飛ぶ雁のように、声をあげて泣いてしまいそうだ。

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金槐和歌集 - 源実朝

雲隠れ鳴きて行くなる初雁の
はつかに見てし人は恋しき

雲に隠れて鳴きながら飛んでゆく初雁の声がかすかに聞こえるように、わずかに見ただけの人が恋しい。

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金槐和歌集 - 源実朝

秋の野に朝霧隠れ鳴く鹿の
ほのかにのみや聞き渡りなむ

秋の野で朝霧に隠れて鳴く鹿の声のように、あの人のことをほのかに聞くばかりで過ごすのだろうか。

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金槐和歌集 - 源実朝

黄金掘る陸奥山に立つ民の
命も知らぬ恋もするかな

黄金を掘る陸奥の山で働く民が命も顧みないように、命も惜しまない恋をすることだなあ。

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金槐和歌集 - 源実朝

逢ふ事のなき名をたつの市による
かねて物思ふ我が身なりけり

逢うこともないのに根も葉もない浮き名が立つ。辰の市に寄って金を払うように、あらかじめ物思いをする私の身であることだ。

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金槐和歌集 - 源実朝

忘らるる身はうらぶれぬ唐衣
きてもたちにし名こそ惜しけれ

忘れられた身はしおれてしまった。唐衣を着ても裁つように、通ってきても立ってしまった浮き名こそが惜しい。

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金槐和歌集 - 源実朝

津の国のこやの丸屋の葦簾
間遠になりぬ行き合はずして

摂津の国の昆陽の粗末な小屋の葦すだれの編み目が粗いように、間遠になってしまった。逢わないままで。

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金槐和歌集 - 源実朝

別れにし昔は露か浅茅原
跡なき野辺にあき風ぞ吹く

別れた昔は露のように消えてしまったのか。浅茅原の、人の跡もない野辺に、秋風が吹いている。

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