古典和歌stream

金槐和歌集 - 源実朝

三島江や玉江の真菰水隠れて
目にし見えねばかる人もなし

三島江の玉江に生える真菰が水に隠れて目に見えないので刈る人もいないように、私の恋も人目に隠れているので、訪れる人もいない。

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金槐和歌集 - 源実朝

真菰生ふる淀の沢水水錆ゐて
影し見えねば問ふ人もなし

真菰の生える淀の沢の水に水錆が浮いて、影も映らないので、訪れる人もいない。

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金槐和歌集 - 源実朝

うき波の小島の海人の濡れ衣
濡るとな言ひそ朽ち果つるとも

憂き波の寄せる雄島の海人の濡れた衣のように、無実の噂を立てられても、濡れているなどと言わないでくれ。たとえ朽ち果ててしまおうとも。

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金槐和歌集 - 源実朝

故郷の杉の板屋の隙を粗み
行き合はでのみ年の経ぬらむ

古里の杉の板葺きの家の板の隙間が粗いように、行き逢うこともないまま年が過ぎてしまったのだろう。

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金槐和歌集 - 源実朝

草深みさしも荒れたる宿なるを
露を形見に尋ね来しかな

草が深いので、あれほど荒れてしまった宿であるのに、草葉の露を形見として訪ねてきたことだ。

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金槐和歌集 - 源実朝

しのぶ草忍び忍びに置く露を
人こそ問はね宿は古りにき

しのぶ草にひそかに置く露のように、ひそかに流す涙を、あの人は訪ねてもくれず、家はすっかり古びてしまった。

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金槐和歌集 - 源実朝

宿は荒れて古きみ山の松にのみ
問ふべきものと風の吹くらむ

家は荒れて、古い山の松にだけ訪れるべきものと思って、風が吹いているのだろうか。

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金槐和歌集 - 源実朝

荒れにけり頼めし宿は草の原
露の軒端にまつ虫の鳴く

荒れてしまったことだ。頼みに思わせた宿は草の原となり、露に濡れた軒端で松虫が鳴いている。

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金槐和歌集 - 源実朝

里は荒れて宿は朽ちにし跡なれや
浅茅が露に松虫の鳴く

里は荒れて、家は朽ちてしまった跡だからだろうか。浅茅に置く露の中で松虫が鳴いている。

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金槐和歌集 - 源実朝

契りけむこれや昔の宿ならむ
浅茅が原に鶉鳴くなり

将来を約束したという、これが昔の宿なのだろうか。浅茅が原にうずらが鳴いているようだ。

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金槐和歌集 - 源実朝

山賤の垣穂に咲ける撫子の
花の心を知る人のなき

山里に住む人の垣根に咲いているなでしこの、その花の心を知る人のいないことよ。

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金槐和歌集 - 源実朝

時雨のみふるの神杉古りぬれど
いかにせむとか色のつれなき

時雨ばかりが降る布留の神杉は古くなったけれど、どうしようというのか、その色は変わらずつれない。

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金槐和歌集 - 源実朝

待つ宵の更けゆくだにもあるものを
月さへあやな傾きにけり

待つ宵が更けてゆくだけでもつらいのに、月までもわけもなく西に傾いてしまったことだ。

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金槐和歌集 - 源実朝

小笹原置く露寒み秋されば
まつ虫の音に鳴かぬ夜ぞなき

笹原に置く露が冷たいので、秋になると、待つという名の松虫が声をあげて鳴かない夜はない。私も待って泣かない夜はない。

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金槐和歌集 - 源実朝

秋の田の穂の上に巣がくささがにの
いとわればかり物は思はじ

秋の田の稲穂の上に巣をかける蜘蛛の糸のように、まさか私ほどには物思いはしないだろう。

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金槐和歌集 - 源実朝

雁のゐる羽風に騒ぐ秋の田の
思ひ乱れてほにぞ出でぬる

雁が降りている、その羽ばたきの風に騒ぐ秋の田の稲穂のように、思い乱れて、とうとう恋心を表に出してしまった。

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