- 表題
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- 後撰和歌集
後撰和歌集 - よみ人しらず
ふしなくて君が絶えにし白糸は
よりつきがたき物にぞありける
これという理由もなく、節のない白糸が切れるようにあなたが途絶えてしまった仲は、糸を縒りつけるようには、寄りつくのが難しいものであったよ。
後撰和歌集 - よみ人しらず
草枕このたび経つる年月の
憂きはかへりてうれしからなん
あなたが旅に出ていたこのたびの、待ち続けて過ごした年月のつらさは、あなたが帰ってきた今、かえってうれしいものであってほしい。
後撰和歌集 - 平定文
浜千鳥頼むを知れとふみ初むる
あとうち消つな我を越す浪
浜千鳥が初めて踏みつける足跡のように、あなたを頼みに思っていることを知ってほしいと書き始めたこの手紙の跡を、打ち消さないでくれ、私を越えてくる波よ。
後撰和歌集 - おほつぶね
行く水の瀬ごとにふまんあとゆゑに
頼むしるしをいづれとか見ん
流れゆく水の瀬ごとに踏んでいく跡のように、あちこちに送るあなたの手紙の跡だから、私を頼みにしているというしるしを、どれだと見たらよいのか。
後撰和歌集 - 源庶明
つまにおふることなし草を見るからに
頼む心ぞ数まさりける
軒端に生えるという言無し草のように、言葉もないまま結んで返された紙を見るにつけても、あなたを妻にと頼みにする心が、いっそうまさることだ。
後撰和歌集 - 源庶明
おく露のかかる物とは思へども
かれせぬ物はなでしこの花
置く露がかかるように、このようにはかないものとは思うけれども、枯れることのない、離れることのないものは、撫子の花である。
後撰和歌集 - 藤原定方
名にし負はば逢坂山のさねかづら
人に知られでくるよしもがな
逢坂山のさねかずらが「逢う」「さ寝」という名を持っているのなら、そのつるをたぐり寄せるように、人に知られずにあなたのもとへ来る手だてがあればよいのに。
後撰和歌集 - よみ人しらず
下紐のしるしとするも解けなくに
語るがごとはあらずもあるかな
下紐が解けることを恋のしるしにするといっても、私の下紐は少しも解けないのだから、あなたが語るようなことではないのだなあ。