古典和歌stream

後撰和歌集 - よみ人しらず

言はで思ふ心ありその浜風に
立つ白浪のよるぞわびしき

口に出さずに思う心がある。荒磯の浜風に立つ白波が寄せるように、夜が来るのがつらいことだ。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

ひとりのみ恋ふれば苦し呼子鳥
声に鳴き出でて君に聞かせん

ひとりだけで恋い慕っていると苦しい。呼子鳥のように声に出して鳴いて、あなたに聞かせよう。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

ふしなくて君が絶えにし白糸は
よりつきがたき物にぞありける

これという理由もなく、節のない白糸が切れるようにあなたが途絶えてしまった仲は、糸を縒りつけるようには、寄りつくのが難しいものであったよ。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

草枕このたび経つる年月の
憂きはかへりてうれしからなん

あなたが旅に出ていたこのたびの、待ち続けて過ごした年月のつらさは、あなたが帰ってきた今、かえってうれしいものであってほしい。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

出でしより見えずなりにし月影は
又山の端に入りやしにけん

出て行ってから見えなくなってしまった月の光は、また山の端に入ってしまったのだろうか。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

あしひきの山に生ふてふもろかづら
もろともにこそ入らまほしけれ

山に生えるというもろかずらの名のように、あなたともろともに、一緒にこそ山に入りたいものだ。

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後撰和歌集 - 平定文

浜千鳥頼むを知れとふみ初むる
あとうち消つな我を越す浪

浜千鳥が初めて踏みつける足跡のように、あなたを頼みに思っていることを知ってほしいと書き始めたこの手紙の跡を、打ち消さないでくれ、私を越えてくる波よ。

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後撰和歌集 - おほつぶね

行く水の瀬ごとにふまんあとゆゑに
頼むしるしをいづれとか見ん

流れゆく水の瀬ごとに踏んでいく跡のように、あちこちに送るあなたの手紙の跡だから、私を頼みにしているというしるしを、どれだと見たらよいのか。

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後撰和歌集 - 源庶明

つまにおふることなし草を見るからに
頼む心ぞ数まさりける

軒端に生えるという言無し草のように、言葉もないまま結んで返された紙を見るにつけても、あなたを妻にと頼みにする心が、いっそうまさることだ。

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後撰和歌集 - 源庶明

おく露のかかる物とは思へども
かれせぬ物はなでしこの花

置く露がかかるように、このようにはかないものとは思うけれども、枯れることのない、離れることのないものは、撫子の花である。

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後撰和歌集 - 源庶明

かれずともいかが頼まむなでしこの
花は常盤の色にしあらねば

枯れないとしても、どうして頼みにできようか。なでしこの花は、常緑の木のように変わらぬ色ではないのだから。

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後撰和歌集 - 藤原定方

名にし負はば逢坂山のさねかづら
人に知られでくるよしもがな

逢坂山のさねかずらが「逢う」「さ寝」という名を持っているのなら、そのつるをたぐり寄せるように、人に知られずにあなたのもとへ来る手だてがあればよいのに。

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後撰和歌集 - 在原元方

恋しとはさらにも言はじ下紐の
解けむを人はそれと知らなむ

恋しいとは、今さら言うまい。下紐が自然に解けたならば、あなたはそれを私の恋しさのしるしだと知ってほしい。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

下紐のしるしとするも解けなくに
語るがごとはあらずもあるかな

下紐が解けることを恋のしるしにするといっても、私の下紐は少しも解けないのだから、あなたが語るようなことではないのだなあ。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

うつつにもはかなきことのわびしきは
寝なくに夢と思ふなりけり

現実においても頼りないことがつらいのは、寝てもいないのに、それを夢だと思ってしまうからなのだ。

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後撰和歌集 - 紀貫之

手向けせぬ別れする身のわびしきは
人目を旅と思ふなりけり

旅立ちのように手向けもしない別れをする身がつらいのは、人目をはばかって逢えないことを、遠い旅のように思うからなのだ。

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