- 表題
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- 後撰和歌集
後撰和歌集 - よみ人しらず
宿かへて待つにも見えずなりぬれば
つらき所の多くもあるかな
住まいを変えて待っていても、あなたは姿を見せなくなってしまったので、あなたにとってつらい所というのは、ずいぶん多くあるものだなあ。
後撰和歌集 - よみ人しらず
思はむと頼めし人は変はらじを
問はれぬ我やあらぬなるらん
いつまでも思おうと私に頼みに思わせた人は、変わってはいないだろうに。訪ねてもらえない私のほうが、もとの私ではなくなってしまったのだろうか。
後撰和歌集 - 源信明
死ぬ死ぬと聞く聞くだにも逢ひ見ねば
命をいつの世にか残さん
死ぬ死ぬと言うのを聞きながらさえ、あなたは逢ってくれないのだから、この命を、いったいいつの世まで残しておけばよいのだろうか。
後撰和歌集 - 本院侍従
絵にかける鳥とも人を見てしがな
同じ所を常にとふべく
あなたを、絵に描いた鳥だと見なしたいものだ。そうすれば、鳥がいつも同じ所を飛ぶように、あなたもいつも同じ所を訪れてくれるだろうから。
後撰和歌集 - きよなりの娘
夢かとも思ふべけれどおぼつかな
寝ぬに見しかば分きぞかねつる
夢だったのかとも思ってよいはずだが、どうもはっきりしない。寝てもいないのに見たのだから、夢か現実か見分けかねているのだ。
後撰和歌集 - よみ人しらず
空知らぬ雨にも濡るる我が身かな
三笠の山をよそに聞きつつ
空からではない雨、涙の雨にも濡れている私であることよ。あなたが三笠の山へ出かけたことを、よそごととして聞きながら。
後撰和歌集 - よみ人しらず
もろともに折るともなしにうちとけて
見えにけるかなあさがほの花
一緒に花を折ったわけでもないのに、すっかりくつろいだ姿を見られてしまったことだ。朝顔の花のような、寝起きの顔を。
後撰和歌集 - よみ人しらず
ももしきは斧の柄朽たす山なれや
入りにし人のおとづれもせぬ
宮中は、斧の柄が朽ちるほど長い時が過ぎるという仙境の山なのだろうか。入っていったあの人が、少しも便りをよこさない。
後撰和歌集 - 藤原伊尹
鈴鹿山伊勢をのあまの捨て衣
しほなれたりと人や見るらん
鈴鹿山を越えた先の伊勢の海人が脱ぎ捨てた衣のように、あなたのもとに置いてきた私の衣を、潮に馴れて着古したものだと人は見るだろうか。