古典和歌stream

拾遺和歌集 - よみ人しらず

春の野に生ふるなきなのわびしきは
身をつみてだに人の知らぬよ

春の野に生える菜ではないが、身に覚えのない浮き名が立つのがつらいのは、我が身をつねってみてさえ、人がこの痛みを知ってくれないことだ。

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拾遺和歌集 - よみ人しらず

なき名のみたつたの山の青つづら
又くる人も見えぬ所に

身に覚えのない浮き名ばかりが立つ。竜田山の青つづらを繰るように、再び訪ねて来る人の姿も見えない所なのに。

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拾遺和歌集 - 柿本人麻呂

無き名のみたつの市とは騒げども
いさまだ人をうるよしもなし

身に覚えのない浮き名ばかりが辰の市のように立っていると世間は騒ぐけれども、さあ、まだあの人を得るすべもない。

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拾遺和歌集 - よみ人しらず

なき事をいはれの池の浮きぬなは
くるしきものは世にこそありけれ

根も葉もないことを言われるのは、磐余の池に浮くぬなわを繰るようなもので、苦しいものはこの世にこそあったのだ。

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拾遺和歌集 - 柿本人麻呂

竹の葉に置きゐる事のまろびあひて
ぬるとはなしに立つ我が名かな

竹の葉に置いているものが転がり合って寄り添うように、共に寝たというわけでもないのに、立ってしまう私の浮き名であることよ。

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拾遺和歌集 - よみ人しらず

あぢきなや我が名はたちて唐衣
身にもならさでやみぬべきかな

ああ、どうにもならないことだ。私の浮き名は立って、唐衣を裁っても身に着け慣らさないように、あの人と馴れ親しむこともなく終わってしまいそうだ。

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拾遺和歌集 - よみ人しらず

唐衣我は刀の触れなくに
まづたつものはなき名なりけり

唐衣に刀を触れてもいないのに裁たれるように、私はあの人に触れてもいないのに、まず立つものは身に覚えのない浮き名であった。

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拾遺和歌集 - 源重之

染川に宿かる波の早ければ
なき名立つとも今は恨みじ

染川に宿を借りる波の流れが早いので、身に覚えのない浮き名が立っても、今はもう恨むまい。

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拾遺和歌集 - よみ人しらず

木幡川こはたが言ひし言の葉ぞ
なき名すすがむ滝つ瀬もなし

木幡川ではないが、これはいったい誰が言い出した言葉なのか。身に覚えのない浮き名をすすぎ清める急流もないのに。

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拾遺和歌集 - 藤原忠房

君が名の立つにとがなき身なりせば
おほよそ人になして見ましや

あなたの浮き名が立つことに、私が何の咎もない身であったなら、あなたを世間並みの人として見ていられようか。

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拾遺和歌集 - よみ人しらず

夢かとも思ふべけれど寝やはせし
何ぞ心に忘れがたきは

夢だったのかとも思ってよいはずだが、私は眠ったりしただろうか、いや眠ってはいない。何なのだろう、心に忘れがたいのは。

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拾遺和歌集 - よみ人しらず

夢よ夢恋しき人に逢ひ見すな
覚めての後にわびしかりけり

夢よ、夢よ、恋しい人に逢わせて見せないでおくれ。覚めた後にはかえってつらかったのだから。

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拾遺和歌集 - 藤原敦忠

逢ひ見ての後の心にくらぶれば
昔はものも思はざりけり

あなたと逢って契りを結んだ後の、この恋しく思う心に比べれば、逢う前の昔は、物思いなどしていなかったも同然だった。

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拾遺和歌集 - 坂上是則

逢ひ見ては慰むやとぞ思ひしを
名残しもこそ恋しかりけれ

逢って契りを結べば心が慰むかと思っていたのに、その名残こそがかえって恋しいことだ。

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拾遺和歌集 - よみ人しらず

逢ひ見てもありにしものをいつの間に
ならひて人の恋しかるらん

逢ってからも平気で過ごしていたのに、いつの間に逢うことに慣れて、あの人がこれほど恋しくなったのだろう。

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拾遺和歌集 - よみ人しらず

我が恋はなほ逢ひ見ても慰まず
いやまさりなる心地のみして

私の恋は、やはり逢ってみても心が慰まない。ますます思いが募っていく心地ばかりがして。

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