- 表題
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- 後撰和歌集
後撰和歌集 - 紀内親王
津の国のなにはたたまく惜しみこそ
すくも焚く火の下に焦がるれ
津の国の難波ではないが、浮き名が立つことを惜しむからこそ、すくもを焚く火がくすぶるように、心の内でひそかに恋い焦がれているのだ。
後撰和歌集 - よみ人しらず
みるめ刈る方ぞあふみになしと聞く
玉藻をさへや海人はかづかぬ
海松布を刈る潟は、湖である近江にはないと聞く。逢う身でありながら見る目がないとしても、せめて玉藻さえも、海人は潜って採らないのだろうか。
後撰和歌集 - よみ人しらず
名のみして逢ふことなみの繁きまに
いつか玉藻を海人はかづかん
近江とは「逢ふ身」の名ばかりで、逢うことがなく、波がしきりに立つ間には、いつ海人が玉藻を潜って採ることができようか。
後撰和歌集 - 陽成天皇
筑波嶺の峰より落つるみなの川
恋ぞつもりて淵となりける
筑波山の峰から流れ落ちるみなの川が、しだいに水を集めて深い淵となるように、私の恋も積もり積もって、淵のように深くなったことだ。
後撰和歌集 - 藤原師輔
おもひには我こそ入りてまどはるれ
あやなく君や涼しかるべき
恋の思いの火の中に、私こそが入って迷い苦しんでいるのに、わけもなく、あなたばかりが涼しくしていてよいものだろうか。
後撰和歌集 - よみ人しらず
我がためはいとど浅くやなりぬらん
野中の清水深さまされば
私に対するあなたの思いは、いっそう浅くなってしまったのだろうか。野中の清水、もとの妻への思いの深さがまさったので。