古典和歌stream

後撰和歌集 - よみ人しらず

関越えて粟津の森のあはずとも
清水に見えし影を忘るな

逢坂の関を越えて粟津の森の方へ行き、もう逢わなくなったとしても、関の清水に映って見えた姿を忘れないでほしい。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

近ければ何かはしるし逢坂の
関の外ぞと思ひ絶えなん

近いからといって、何の甲斐があろうか。逢坂の関の向こうの人なのだと思って、すっかり思い切ってしまおう。

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後撰和歌集 - 平中興女

今はとて梢にかかる空蝉の
からを見むとは思はざりしを

もうこれまでと、梢にかかっている蝉の抜け殻のように、あなたの残した衣を見ることになろうとは思いもしなかったのに。

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後撰和歌集 - 源巨城

忘らるる身をうつせみの唐衣
返すはつらき心なりけり

忘れられるのはむしろ私の方なのに、抜け殻のような唐衣を返してよこすとは、あなたこそつれない心であったのだ。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

影にだに見えもやするとたのみつる
かひなく恋をます鏡かな

せめて鏡に映る影にでもあなたの姿が見えるかと頼みにしていたのに、その甲斐もなく、恋しさを増すばかりの真澄の鏡であることよ。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

あしひきの山田のそほづうちわびて
ひとりかへるの音をぞなきぬる

山の田に立つかかしのように、ぽつんと立ちつくしてすっかり気落ちし、ひとり帰る私は、蛙が鳴くように声をあげて泣いてしまった。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

種はあれど逢ふことかたき岩の上の
まつにて年をふるはかひなし

種はあるけれども、逢うことの難しい、堅い岩の上の松のように、ただ待ち続けて年を過ごすのは甲斐のないことだ。

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後撰和歌集 - 藤原時平

ひたすらに厭ひ果てぬるものならば
吉野の山に行方知られじ

もしあなたが私をすっかり嫌いきってしまったというのなら、私は吉野の山に入って、行方を知られないようにしよう。

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後撰和歌集 - 伊勢

我が宿と頼む吉野に君し入らば
同じかざしをさしこそはせめ

私が住まいと頼みにしている吉野に、あなたが入るというのならば、私も同じかざしを挿して、ご一緒しようものを。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

紅に袖をのみこそ染めてけれ
君を恨むる涙かかりて

紅色に袖ばかりを染めてしまったことだ。あなたを恨んで流す涙がかかって。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

紅に涙うつると聞きしをば
などいつはりと我が思ひけん

紅色に涙の色が移ると聞いていたのを、どうして嘘だと私は思っていたのだろう。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

紅に涙し濃くは緑なる
袖も紅葉と見えましものを

本当に紅色に涙が濃く染まるのなら、緑色の袖も紅葉のように見えるだろうに。そうは見えないではないか。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

いにしへの野中の清水見るからに
さしくむものは涙なりけり

昔のままの野中の清水を見るとすぐに、汲むように胸にこみあげてくるものは、涙であったよ。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

天雲の晴るる夜もなく降るものは
袖のみ濡るる涙なりけり

空の雲が晴れる夜もなく降り続けるもの、それは私の袖ばかりを濡らす涙であったよ。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

逢ふことのかたふたがりて君来ずは
思ふ心のたがふばかりぞ

方角がふさがっているといって、逢うことも難しく、あなたが来ないのならば、方違えをするように、あなたを思う心が食い違っていくばかりだ。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

常磐にとたのめしことはまつほどの
久しかるべき名にこそありけれ

いつまでも変わらないと約束して頼みにさせたことは、松のように久しく続くという名ばかりで、実は待つ時間が久しく続くという意味だったのだ。

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