- 表題
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- 後撰和歌集
後撰和歌集 - よみ人しらず
水鳥のはかなきあとに年を経て
通ふばかりのえにこそありけれ
水鳥が残すはかない足跡のような、はかない筆跡の手紙だけで年を過ごし、ただ文が行き来するばかりの縁であったのだ。
後撰和歌集 - よみ人しらず
波の上にあとやは見ゆる水鳥の
うきて経ぬらん年は数かは
波の上に水鳥の足跡が見えるだろうか、見えはしない。水鳥が浮いて過ごすように、つらい思いで過ごしてきた年月など、数のうちに入るだろうか。
後撰和歌集 - よみ人しらず
流れ寄る瀬々の白波浅ければ
とまるいな舟かへるなるべし
流れ寄せる瀬々の白波が浅いので、とどまるはずの稲舟も引き返していくのだろう。あなたの思いが浅いので、私の心も引き返すのだろう。
後撰和歌集 - よみ人しらず
花すすきほに出づることもなきものを
まだき吹きぬるあきの風かな
花すすきが穂を出すように、恋を表に出すこともまだないのに、早くも吹いてしまった秋風、あなたの飽きの風であることよ。
後撰和歌集 - 坂上常景
鏡山あけて来つれば秋霧の
けさやたつらんあふみてふ名は
鏡山の鏡を開けるように、夜が明けてから帰って来たので、秋霧が立つように、今朝は「近江」という名、逢う身だといううわさが立っているだろうか。
後撰和歌集 - 藤原成国
秋の田のかりそめ臥しもしてけるか
いたづらいねを何につままし
秋の田を刈るように、かりそめの仮寝もしてしまったことだ。むなしく寝たこの寝を、稲を積むように、何に積んだらよいのだろう。
後撰和歌集 - よみ人しらず
なかなかに思ひかけては唐衣
身になれぬをぞうらむべらなる
なまじ思いをかけてしまったので、唐衣が身になじまないように、あなたと親しくなれないことを、裏のある衣のように恨むようだ。