- 表題
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- 後撰和歌集
後撰和歌集 - 紀貫之
風をいたみくゆる煙の立ち出でても
なほこりずまのうらぞ恋しき
風が激しいので、くすぶる塩焼きの煙が立ちのぼって離れていくように、追い立てられて出て来ても、懲りもせずにやはり須磨の浦が恋しい。あの人が心から恋しい。
後撰和歌集 - よみ人しらず
恋ひて寝る夢路に通ふ魂の
慣るるかひなく疎き君かな
恋しく思いながら寝る夢の道を通っていく私の魂が、あなたに慣れ親しんでも、その甲斐もなく、よそよそしいあなたであることよ。
後撰和歌集 - よみ人しらず
思ひ寝の夢と言ひてもやみなまし
なかなか何にありと知りけん
思い寝の夢だと言ってすませてしまえばよかった。なまじどうして、あなたが本当に帰っていたと知ってしまったのだろう。
後撰和歌集 - 藤原忠房
ひきまゆのかくふたごもりせまほしみ
桑こきたれて泣くを見せばや
繭が二匹の蚕を包むように、あなたと二人でこもっていたいので、桑の葉をしごき落とすように涙をしたたらせて泣くのを、見せたいものだ。
後撰和歌集 - よみ人しらず
まどろまぬものからうたてしかすがに
うつつにもあらぬ心地のみする
うとうと眠っているわけでもないのに、困ったことに、そうはいってもやはり、現実とも思えない心地ばかりがする。