- 表題
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- 新古今和歌集
新古今和歌集 - 上西門院兵衛
今日来れどあやめも知らぬ袂かな
昔を恋ふるねのみかかりて
五月五日の今日が来たけれど、菖蒲も、物の見分けも知らない袂であることよ。菖蒲の根ではなく、昔を恋うて泣く声ばかりが掛かって。
新古今和歌集 - 藤原呈子
あやめ草ひきたがへたる袂には
昔を恋ふるねぞかかりける
菖蒲草を引くこの日に、引き替えたように出家の姿に変わってしまった袂には、菖蒲の根ではなく、昔を恋うて泣く音が掛かっていることだ。
新古今和歌集 - 藤原聖子
さもこそは同じ袂の色ならめ
変はらぬねをもかけてけるかな
いかにもそのとおり、あなたと私は同じ袂の色なのであろう。変わることのない根、変わらずに泣く音をも、ともに袂に掛けていることだ。
新古今和歌集 - 藤原為頼
ひとりにもあらぬ思ひはなき人も
旅の空にや悲しかるらん
ひとりだけのものではないこの嘆きは、残された者だけでなく、亡くなった人もまた、死出の旅の空で悲しく思っているのであろうか。
新古今和歌集 - 和泉式部
置くと見し露もありけり
はかなくて消えにし人を何にたとへん
置いていると見た露も、こうして残っていたのだ。それなのに、はかなく消えてしまったあの子を、何にたとえたらよいのだろうか。
新古今和歌集 - 平仲子
浅茅原はかなく消えし草の上の
露を形見と思ひかけきや
浅茅の茂る原となったこの御殿の跡で、はかなく消えた草の上の露を、亡き御方の形見と思うことになろうとは、思いもかけなかった。