- 表題
- -
- 後撰和歌集
後撰和歌集 - よみ人しらず
霜置かぬ春よりのちのながめにも
いつかは君が夜離れせざりし
霜の置かない春から後の、長雨が降って物思いに沈む季節にも、いったいいつ、あなたが夜離れしなかったことがあっただろうか。
後撰和歌集 - 源英明
伊勢の海の海人のまてかたいとまなみ
長らへにける身をぞうらむる
伊勢の海の海人が両手を休めずに働いて暇がないように、私も暇がないままに、あなたを訪ねもせず生き長らえてしまった我が身を恨むことだ。
後撰和歌集 - 藤原為世
逢ふことのかたのへとてぞ我はゆく
身を同じ名に思ひなしつつ
逢うことの難しい、その「かた」の名を持つ交野へと思って私は行くのだ。逢うことの難しい我が身を、交野と同じ名のものと思いなしながら。
後撰和歌集 - 藤原兼茂女
思ふてふことこそ憂けれくれ竹の
よにふる人の言はぬなければ
「思っている」という言葉こそつらいものだ。呉竹の節のように、世の中に生きる人で、それを言わない者はいないのだから。