- 表題
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- 千載和歌集
千載和歌集 - 西行
嘆けとて月やは物を思はする
かこち顔なる我が涙かな
嘆けといって、月が私に物思いをさせるのだろうか。いや、そうではない。それなのに、月のせいだとかこつけるような顔つきで流れる私の涙であることよ。
千載和歌集 - 祐盛
つらしとも恨むる方ぞなかりける
憂きを厭ふは君ひとりかは
薄情だと恨む筋合いもなかったのだ。つらく情けないものを厭うのは、あなた一人であろうか。この身を厭うのは私も同じなのだから。
千載和歌集 - 源有房
思ふをも忘るる人はさもあらばあれ
憂きを偲ばぬ心ともがな
思っている私をさえ忘れてしまう人は、それならそれでかまわない。せめて私の方は、つれない人を恋い慕うことのない心であってほしいものだ。
千載和歌集 - 源仲頼
厭はるるそのゆかりにていかなれば
恋は我が身を離れざるらん
恋しい人には厭われているというのに、その人とのゆかりであるからといって、どういうわけで、恋は私の身を離れずにいるのだろう。
千載和歌集 - 土御門前斎院中将
年経れど憂き身はさらに変はらじを
つらさも同じつらさなるらん
年月が経っても、つらいこの身はまったく変わらないだろうに。あなたの薄情さもきっと、昔と同じ薄情さなのだろう。
千載和歌集 - 藤原顕輔
年経れどあはれに堪へぬ涙かな
恋しき人のかからましかば
年月が経っても、しみじみとした思いに堪えきれずにこぼれる涙であることよ。恋しいあの人も、このようであったならばよいのに。
千載和歌集 - 藤原俊成
奥山の岩垣沼のうきぬなは
深きこひぢに何乱れけん
奥山の岩に囲まれた沼に浮かぶ蓴菜が深い泥の中で茎を乱すように、つらい思いを抱く私は、どうしてこんなにも深い恋の道に乱れてしまったのだろう。
千載和歌集 - 藤原俊成
しきしのぶ床だに堪へぬ涙にも
恋は朽ちせぬものにぞありける
独り寝の床に衣を敷き、しきりに恋しい人を偲ぶ。その床さえも堪えきれずに朽ちてしまうほどの涙にも、恋は朽ちることのないものであったのだ。
千載和歌集 - 藤原清輔
朝夕にみるめをかづく海人だにも
うらみは絶えぬものとこそ聞け
朝に夕にみるめを潜って採る海人でさえも、浦を見ることが絶えないように、恨みは絶えないものだと聞いている。まして、逢う機会もない私の恨みは尽きることがない。
千載和歌集 - 上西門院兵衛
何せんにそら頼めとて恨みけん
思ひ絶えたる暮れもありけり
どうして、むなしい期待を抱かせると言って恨んだりしたのだろう。今はもう待つ思いさえ絶えてしまった、こんな夕暮れもあったのだ。