- 表題
- -
- 後撰和歌集
後撰和歌集 - よみ人しらず
数ならぬ身はうき草となりななん
つれなき人に寄るべ知られじ
取るに足らない我が身は、いっそつらい浮き草となってしまいたい。そうすれば、つれない人に身を寄せる所を知られることもないだろう。
後撰和歌集 - よみ人しらず
いづ方にことづてやりて雁がねの
逢ふことまれに今はなるらん
いったいどちらへ便りを託して送ったために、年に一度渡ってくる雁のように、今はまれにしか逢えなくなってしまったのだろう。
後撰和歌集 - よみ人しらず
葛城や久米路に渡す岩橋の
なかなかにても帰りぬるかな
葛城の久米路に架け渡そうとした岩橋が中途で絶えたように、なまじ逢ったことで、かえって中途半端なまま帰ってしまったことだ。
後撰和歌集 - 藤原有好
白雲のみなひとむらに見えしかど
立ち出でて君を思ひそめてき
白雲がみなひとかたまりに見えるように、白い衣の女たちはみな同じように見えたけれど、雲が立ち離れるようにあなたが進み出て、私はあなたを思いはじめたのだった。
後撰和歌集 - よみ人しらず
よそなれど心ばかりはかけたるを
などかおもひに乾かざるらん
離れてはいるけれど、心だけはあなたにかけているのに、衣を火にかけても乾かないように、どうして思いの火にあたっても涙の袖は乾かないのだろう。
後撰和歌集 - よみ人しらず
消えずのみ燃ゆるおもひは遠けれど
身もこがれぬるものにぞありける
消えることなく燃え続けるあなたの思いの火は遠くにあるけれど、その火で私の身までも焦がれてしまうものであったよ。