古典和歌stream

後撰和歌集 - よみ人しらず

水まさる心地のみしてわがために
うれしき瀬をば見せじとやする

川の水かさが増すような心地ばかりがして、あなたは私のためには、うれしい逢瀬を見せまいとしているのだろうか。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

逢ふ事をよどに有りてふみつのもり
つらしと君を見つるころかな

逢うことが淀んでいるという、淀にある美豆の森の名のように、あなたを薄情な人だと見てきたこのごろであることよ。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

みつのもりもるこのころのながめには
怨みもあへずよどの河浪

美豆の森に雨の漏るこのごろの長雨に物思いをしていては、恨みきることもできず、淀の川波のようにとどこおっている。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

うき世とは思ふものから天の戸の
あくるはつらき物にぞ有りける

つらい世の中だとは思っていたものの、天の戸が開くように夜が明けてしまうのは、ことさらつらいものであったよ。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

恨むれど恋ふれど君が世とともに
知らず顔にてつれなかるらん

恨んでも恋い慕っても、あなたはいつまでも知らぬ顔で、どうしてこれほど冷淡なのだろう。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

怨むとも恋ふともいかが雲居より
はるけき人をそらに知るべき

恨むといっても恋うといっても、雲居よりもはるかに遠いあなたの心を、どうしてあて推量で知ることができようか。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

賤機にへつるほどなり白糸の
絶えぬる身とは思はざらなん

賤機で経糸を延べるように、ただ時が経っていただけなのだ。白糸が切れるように、あなたとの仲が絶えてしまった身だとは思わないでほしい。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

へつるより薄くなりにし賤機の
糸は絶えてもかひやなからん

経糸を延べたその時から薄くなってしまった賤機の糸は、たとえ絶えたとしても、今さら何のかいもないのではないか。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

くる事は常ならずとも玉鬘
頼みは絶えじと思ふ心あり

訪ねて来ることはいつもというわけではなくても、玉鬘のつるが長く続くように、あなたを頼みとする思いは絶えるまいと思う心がある。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

玉鬘頼めくる日の数はあれど
絶え絶えにてはかひなかりけり

玉鬘のつるを繰るように、来ると頼みにさせた日の数は多くあるけれども、途切れ途切れでは何のかいもなかったことだ。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

いにしへの心はなくや成りにけん
頼めしことの絶えて年ふる

昔のあなたの心はなくなってしまったのだろうか。頼みにさせたあの約束が絶えたまま、年月が過ぎていく。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

いにしへも今も心のなければぞ
うきをも知らで年をのみふる

昔も今も、私には心というものがないからこそ、つらさも知らないで、ただ年ばかりを重ねているのだ。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

絶えたりし昔だに見し打橋を
今はわたると音にのみ聞く

橋が途絶えていた昔でさえ姿を見せてくれた打橋なのに、今はそれを渡って通り過ぎていくと、音にばかり聞いている。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

忘られて年ふるさとの郭公
なにに一声鳴きてゆくらん

忘れられて年を経た古里にやって来た郭公は、何のためにただ一声だけ鳴いて去っていくのだろう。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

訪ふやとて杉なき宿に来にけれど
恋しきことぞしるべなりける

訪ねて来てくれるかと待っているかと思って、目印の杉もない家にやって来たが、恋しい思いこそが道しるべであったのだ。

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後撰和歌集 - よみ人しらず

露の命いつとも知らぬ世の中に
などかつらしと思ひおかるる

露のようにはかない命が、いつ消えるとも知れない世の中で、どうして薄情な者だと心に置かれてしまうのだろう。

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