- 表題
- -
- 新古今和歌集
新古今和歌集 - 大伴家持
秋萩の枝もとををに置く露の
今朝消えぬとも色に出でめや
秋萩の枝もたわむほどに置く露が今朝消えてしまうように、たとえ私の命が今朝消えてしまっても、思いを顔色に出したりするだろうか。
新古今和歌集 - 藤原高光
秋風に乱れてものは思へども
萩の下葉の色は変はらず
秋風に萩が乱れるように、心乱れて物思いをしているけれども、萩の下葉の色が変わらないように、私の様子は表に変わりを見せない。
新古今和歌集 - 九条良経
石上布留の神杉ふりぬれど
色には出でず露も時雨も
石上の布留の神杉は年を経て古び、露も時雨も降りかかったけれど、色を変えることはない。そのように長く忍んできた私の恋も表には出さない。
新古今和歌集 - 九条良経
空蝉の鳴く音やよそにもりの露
干しあへぬ袖を人の問ふまで
蝉の鳴く声のような私の泣き声が、よそに漏れてしまったのだろうか。森の露のように干しきれない涙の袖を、人が不審に思って尋ねるほどに。
新古今和歌集 - 式子内親王
玉の緒よ絶えなば絶えね長らへば
忍ぶることの弱りもぞする
私の命よ、絶えるのならば絶えてしまえ。このまま生き長らえていたら、恋を忍ぶ心が弱って、人に知られてしまうといけないから。
新古今和歌集 - 式子内親王
我が恋は知る人もなしせく床の
涙もらすなつげの小枕
私の恋は知る人もいない。せき止めている寝床の涙を漏らさないでおくれ、黄楊の小枕よ。「告げ」という名を持つおまえも、人には告げないでおくれ。
新古今和歌集 - よみ人しらず
雨もこそは頼まばもらめ頼まずは
思はぬ人と見てをやみなん
雨でさえ、頼みにすれば漏れてくるものでしょう。頼みにしないのなら、私を思ってはくれない人と見て、それで終わりにしましょう。