- 表題
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- 新古今和歌集
新古今和歌集 - 藤原俊成
海人の刈るみるめをなみにまがへつつ
なぐさの浜を尋ねわびぬる
海人の刈る海松布を波にまぎらわせるように、逢って見る目もないまま、名を隠したまま、慰めを求めてなぐさの浜を尋ねあぐねてしまった。
新古今和歌集 - 藤原俊成女
下燃えにおもひ消えなん煙だに
跡なき雲の果てぞ悲しき
人に知られず胸の奥でくすぶる恋の火に焦がれて、私はきっと消えるように死んでしまうだろう。そのとき立ちのぼる煙さえ、跡形もない雲となって消えてゆく、その果てが悲しい。
新古今和歌集 - 藤原定家
なびかじな海人の藻塩火焚きそめて
煙は空にくゆりわぶとも
あの人は私になびくことはないだろうよ。海人が藻塩を焼く火を焚きはじめて、その煙が空でくすぶり悩むように、私が恋の思いを燃やしはじめて、どれほどくすぶり悩もうとも。
新古今和歌集 - 藤原良経
恋をのみすまの浦人藻塩垂れ
干しあへぬ袖の果てを知らばや
恋ばかりをしている私は、須磨の浦人が藻塩の潮水を垂らすように涙に濡れて、干しきれない袖がこの先どうなってしまうのか、その果てを知りたいものだ。
新古今和歌集 - 二条院讃岐
みるめこそ入りぬる磯の草ならめ
袖さへ波の下に朽ちぬる
逢う機会である見る目こそは、潮が満ちると隠れてしまう磯の草の海松布のように、得がたいものであろう。それなのに、袖までもが涙の波の下で朽ちてしまった。
新古今和歌集 - 前太政大臣
知るらめや木の葉降りしく谷水の
岩間に漏らす下の心を
あの人は知っているだろうか、いや知るまい。木の葉が降り敷いた谷川の水が岩の間からひそかに漏れ出るように、わずかに漏らしている私の心の奥底を。
新古今和歌集 - 藤原実定
かくとだに思ふ心をいはせ山
下行く水の草隠れつつ
せめてこうだとだけでも、思う心を言わせたいが、岩瀬山のふもとを流れる水が草に隠れているように、私の思いは隠れたままである。