- 表題
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- 新古今和歌集
新古今和歌集 - 藤原隆房
言はぬより心や行きてしるべする
眺むる方を人の問ふまで
口に出して言わないうちから、私の心があなたのもとへ行って道案内をしたのだろうか。私が眺めている方をあなたが尋ねるまでに。
新古今和歌集 - 藤原良経
山賤の麻のさ衣筬を荒み
あはで月日やすぎ葺ける庵
山に住む賤しい者の麻の衣は、筬の目が粗いので織り目が合わない。そのように恋人に逢わないまま、月日が過ぎてしまったのだろうか、この杉で屋根を葺いた庵で。
新古今和歌集 - 藤原忠定
思へども言はで月日はすぎの門
さすがにいかが忍び果つべき
思ってはいても口に出さないまま、月日は過ぎてしまった。杉の門を鎖して閉じこもるようにしてきたが、そうはいってもやはり、どうして最後まで忍び通せようか。
新古今和歌集 - 藤原公能
わが恋は千木の片削ぎかたくのみ
行き合はで年の積もりぬるかな
私の恋は、社の屋根の千木の片削ぎが行き合わないように、難いことばかりで、あの人に行き逢わないまま年が積もってしまったことだ。
新古今和歌集 - 藤原定家
須磨の海人の袖に吹きこす潮風の
なるとはすれど手にもたまらず
須磨の海人の袖に吹き越してくる潮風が、袖に馴れて音を立てるように、あの人と馴れ親しみはするけれど、潮風が手にとどまらないように、私のものにはならない。
新古今和歌集 - 寂蓮
ありとても逢はぬためしのなとり川
朽ちだに果てね瀬々の埋もれ木
生きていても逢えない例として評判になった名取川の、瀬々に沈んだ埋もれ木のようなわが身よ。せめて朽ち果ててしまえ。
新古今和歌集 - 藤原良経
嘆かずよ今はた同じなとり川
瀬々の埋もれ木朽ち果てぬとも
もう嘆きはしないよ。浮き名が立ってしまった今となっては同じことだ。名取川の瀬々に沈んだ埋もれ木のように、たとえわが身が朽ち果ててしまっても。