- 表題
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- 新古今和歌集
新古今和歌集 - 高松院右衛門佐
よそながらあやしとだにも思へかし
恋せぬ人の袖の色かは
離れたところからでも、せめて変だとだけでも思ってほしい。これが恋をしていない人の袖の色であろうか、いやそうではない。
新古今和歌集 - 藤原実定
覚めてのち夢なりけりと思ふにも
逢ふは名残の惜しくやはあらぬ
目が覚めてから、あれは夢だったのだと思うにつけても、逢ったことは名残惜しくないことがあろうか、やはり名残惜しい。
新古今和歌集 - 藤原忠良
頼めおきし浅茅が露に秋かけて
木の葉降りしく宿の通ひ路
あの人が来ると約束しておいたのに、浅茅に露の置くころから秋にかけて待ち続けるうちに、わが宿への通い路には木の葉が降り敷いてしまった。
新古今和歌集 - 賀茂重政
頼めても遥けかるべきかへる山
幾重の雲のうちに待つらん
帰って来ると約束してくれても、遥かに遠いにちがいない帰る山よ。幾重にも重なる雲のかなたで、私はいつまで待つことになるのだろう。
新古今和歌集 - 藤原家房
逢ふことはいつといぶきの峰に生ふる
さしも絶えせぬおもひなりけり
逢うことはいつと言うのか、分からない。伊吹の峰に生えるさしも草が燃えるように、それほどまでに絶えることのない思いの火であった。
新古今和歌集 - 藤原家隆
富士の嶺の煙もなほぞ立ちのぼる
上なきものはおもひなりけり
富士の嶺の煙も、なお高く立ちのぼっている。けれどもそれよりさらに上がなく、この上ないものは、私の恋の思いの火であった。
新古今和歌集 - 藤原俊忠
なき名のみたつたの山に立つ雲の
ゆくへも知らぬ眺めをぞする
根も葉もない浮き名ばかりが立つ。その竜田山に立つ雲のように、行方も知れない物思いに沈んで、ぼんやりと眺めていることだ。