- 表題
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- 新古今和歌集
新古今和歌集 - 式子内親王
逢ふことを今日まつが枝の手向草
幾夜しほるる袖とかは知る
逢うことを今日こそと待つ、その「待つ」に通う松の枝に結ばれた手向草のように、幾夜涙にしおれてきた袖であるかを、あなたは知っているだろうか、知りはしまい。
新古今和歌集 - 三条院女蔵人左近
人心うす花染めの狩衣
さてだにあらで色や変はらん
人の心は薄花染めの狩衣のように薄いものだが、せめてその薄いままでさえいないで、色が変わるように心変わりしてしまうのだろうか。
新古今和歌集 - 藤原実方
なかなかの物思ひ初めて寝ぬる夜は
はかなき夢もえやは見えける
なまじ逢ったためにかえって物思いをし始めて寝る夜は、はかない夢さえ見ることができただろうか、いや見られはしなかった。
新古今和歌集 - 和泉式部
枕だに知らねば言はじ見しままに
君語るなよ春の夜の夢
枕さえ知らないのだから、私は言うまい。見たままに、あなたも人に語らないでほしい。春の夜の夢のようにはかない、二人の逢瀬を。
新古今和歌集 - 馬内侍
忘れても人に語るなうたた寝の
夢見て後も長からじ世を
たとえ私を忘れることがあっても、人には語らないでほしい。うたた寝の夢を見たようなはかない逢瀬の後も、長くは続かないであろう二人の仲なのだから。
新古今和歌集 - 高倉天皇
今朝よりはいとどおもひを焚きまして
なげき樵り積むあふさかの山
逢った今朝からは、いっそう恋の思いの火を焚き増して、嘆きという投げ木を伐っては積み重ねる、逢坂の山であることよ。
新古今和歌集 - 相模
いかにせん葛の裏吹く秋風に
下葉の露の隠れなき身を
どうしたらよいのだろう。葛の葉裏を吹き返す秋風に、下葉の露が隠れようもなく現れるように、隠れようもなく人に知られてしまったこの身を。
新古今和歌集 - 藤原実方
あけがたき二見の浦による波の
袖のみ濡れておきつ島人
戸を開けてもらえず、明けがたい長い夜、二見の浦に寄せる波のように寄っていっても、袖ばかりが濡れて、起きたまま夜を明かす私は、沖の島に住む人のようだ。
新古今和歌集 - 伊勢
逢ふことのあけぬ夜ながら明けぬれば
我こそ帰れ心やは行く
逢うことのかなわない、戸の開かないままの夜であったのに、夜は明けてしまったので、我が身こそ帰るけれども、心は帰りなどしようか、しはしない。