後撰和歌集 - 武蔵
取るに足りない我が身に置く宵の白玉、つまり涙の露は、光をちらりと見せただけで途絶えてしまうものであったことよ。
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後撰和歌集 - よみ人しらず
難波潟の水際の葦が節を重ねて老いていくように、年老いたこの世に、あなたの心を恨みながら過ごしていることだ。
忘れたなどと恨まないでほしい。はし鷹が羽を抜け替える山の椎の木は、紅葉することなく色を変えないのだから。
あちらこちらの人目もまれな山里に、住まいを構えようとは、あなたは思っていただろうか。
我が身をつらいと思って、人に知られない暮らしを尋ねてやってきた、雲が幾重にも立つ山こそ、ここではないか。
後撰和歌集 - 土佐
朝に夕に世のつらいことを耐え忍びながら、物思いにふけっている間に、年月は過ぎてしまったことだ。
後撰和歌集 - 閑院
春が来たのか、秋が去ったのか、はっきりしない。日の当たらない陰の朽ち木のようにして世を過ごしている身には。
後撰和歌集 - 紀貫之
世の中はつらいものなのだろうか。人の噂が、あれこれと聞こえてきて、聞くのもつらいことだ。
武蔵野は、袖が濡れるほどに草を分けて探したけれども、若紫は探しあぐねてしまった。
後撰和歌集 - 壬生忠岑
私は大荒木の森の草となってしまったのだろうか。草を刈りに来るように、かりそめにさえ訪ねて来る人もいない。
「あわれ」という言葉こそ、いつも私の口の端にかかっているが、それはあなたを思っているからなのだろう。
後撰和歌集 - 伊勢
吹く風の下に舞う塵でもないのに、なんとまあ立ちやすい、私の根も葉もない浮き名であることよ。
後撰和歌集 - 藤原冬嗣
古い都の佐保川の川水よ。今日もなお、こうして逢う瀬のあることはうれしいことだ。
後撰和歌集 - 俊子
私の家に、いつ慣れ親しんだというので、楢の葉を、いかにも慣れた顔で折りに人をよこすのか。
後撰和歌集 - 藤原仲平
楢の葉には、葉を守る神がいらっしゃったのを知らずに折ってしまった。どうか祟りなさるな。
お返ししたら、この笛の音色も変わってしまうだろうか。つれなく去ったあの一夜の形見と思うので。