- 表題
- -
- 新古今和歌集
新古今和歌集 - 八条院高倉
いかが吹く身にしむ色の変はるかな
頼むる暮れのまつ風の声
どのように吹いているのだろう。身にしみる風の色がいつもと変わって感じられることだ。来ると約束してくれた夕暮れに、待つ身に聞く松風の音は。
新古今和歌集 - 西行
頼めぬに君来やと待つ宵の間の
更けゆかでただ明けなましかば
約束もしていないのに、あなたが来るだろうかと待つ宵のうちが、更けてゆかずに、そのまま明けてしまったならよかったのに。
新古今和歌集 - 藤原定家
帰るさのものとや人の眺むらん
待つ夜ながらの有明の月
ほかの女のもとからの帰り道に見るものとして、あの人は眺めているのだろうか。私が待つ夜のまま迎えてしまった、この有明の月を。
新古今和歌集 - よみ人しらず
君来んと言ひし夜ごとに過ぎぬれば
頼まぬものの恋ひつつぞ経る
あなたが来ようと言った夜ごとに、来ないまま過ぎてしまったので、もう頼みにはしないけれども、恋い慕い続けて日を送っている。
新古今和歌集 - 柿本人麻呂
衣手に山おろし吹きて寒き夜を
君来まさずはひとりかも寝ん
袖に山から吹き下ろす風が吹きつけて寒い夜なのに、あなたがおいでにならないならば、ひとりで寝ることになるのだろうか。
新古今和歌集 - 徽子女王
なれゆくはうき世なればや須磨の海人の
塩焼き衣間遠なるらん
馴れ親しむにつれて飽きられてゆくのが憂き世の常だからでしょうか。須磨の海人の塩焼き衣が着なれて織り目が粗くなるように、あなたのお越しが間遠になっているのは。
新古今和歌集 - 藤原敦忠
結び置きし袂だに見ぬ花すすき
刈るともかれじ君しとかずは
契りを結んでおいたあなたの袂さえ、今は見ることのない花すすきだが、花すすきが刈っても枯れないように、私たちの仲も離れはしまい、あなたが結んだものを解かないならば。