古典和歌stream

万葉集

島の宮上の池なる放ち鳥
荒びな行きそ君座さずとも

島の宮の上の池にいる放ち鳥よ、人になつかない鳥となって去って行かないでくれ。皇子がいらっしゃらなくても。

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万葉集

高照らす我が日の御子のいましせば
島の御門は荒れずあらましを

我が日の御子が生きておられたなら、島の宮殿は荒れずにいただろうに。

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万葉集

外に見し真弓の岡も君座せば
常つ御門と侍宿するかも

これまで自分とは関わりのないものと見ていた真弓の岡も、皇子がいらっしゃるので、永遠の御殿としてお仕えし、宿直することだ。

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万葉集

夢にだに見ずありしものをおほほしく
宮出もするかさ桧の隈廻を

夢にさえ見なかったことなのに、心の晴れないまま宮へ出仕することよ、檜隈の曲がりくねった道を。

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万葉集

天地とともに終へむと思ひつつ
仕へまつりし心違ひぬ

天地とともにいつまでもお仕えしようと思いながら、お仕えしてきた心が、かなわなくなってしまった。

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万葉集

朝日照る佐田の岡辺に群れ居つつ
我が泣く涙やむ時もなし

朝日の照る佐田の岡辺に群れ集まりながら、私たちが泣く涙はやむ時もない。

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万葉集

み立たしの島を見る時にはたづみ
流るる涙止めぞかねつる

皇子がお立ちになった庭の島を見るとき、にわたずみのように流れる涙を止めることができない。

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万葉集

橘の島の宮には飽かぬかも
佐田の岡辺に侍宿しに行く

橘の島の宮での勤めでは満ち足りないというのか、佐田の岡辺まで宿直しに行く。

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万葉集

み立たしの島をも家と棲む鳥も
荒びな行きそ年かはるまで

皇子がお立ちになった庭の島を住みかとしている鳥も、人になつかず飛び去ってしまわないでくれ。年が改まるまでは。

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万葉集

み立たしの島の荒礒を今見れば
生ひざりし草生ひにけるかも

皇子がお立ちになった庭の島の荒磯を今見ると、以前は生えていなかった草が生えてしまったことだ。

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万葉集

鳥座立て飼ひし雁の子巣立ちなば
真弓の岡に飛び帰り来ね

止まり木を立てて飼ってきた雁の雛よ、巣立ったならば、真弓の岡に飛び帰ってきておくれ。

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万葉集

我が御門千代とことばに栄えむと
思ひてありし我れし悲しも

我らがお仕えする宮殿は千年も永遠に栄えるだろうと思っていた、その私が悲しい。

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万葉集

東のたぎの御門に侍へど
昨日も今日も召す言もなし

東の滝のそばの御門に控えてお仕えしているけれども、昨日も今日もお召しになるお言葉もない。

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万葉集

水伝ふ礒の浦廻の岩つつじ
茂く咲く道をまたも見むかも

水が伝い流れる庭の池の岸辺の岩つつじが盛んに咲いている道を、またいつか見ることがあるだろうか。

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万葉集

一日には千たび参りし東の
大き御門を入りかてぬかも

一日に千度も参上した東の大きな御門を、今は入ることができないことだ。

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万葉集

つれもなき佐田の岡辺に帰り居ば
島の御階に誰れか住まはむ

縁もゆかりもない佐田の岡辺に移り住んでしまったら、島の宮の御殿の階段には、いったい誰が住むのだろうか。

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