古典和歌stream

金槐和歌集 - 源実朝

逢ふ事を雲居のよそに行く雁の
遠ざかればや声も聞こえぬ

逢うことを遠い空のかなたのものとして飛んでゆく雁のように、あの人が遠ざかったからだろうか、声さえも聞こえない。

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金槐和歌集 - 源実朝

奥山の草踏み鳴らすさを鹿も
深き心のほどは知らなむ

奥山の草を踏み鳴らして妻を求めるさお鹿でさえも、深い思いのほどは知ってほしいものだ。

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金槐和歌集 - 源実朝

はみ上る鮎住む川の瀬を早み
早くや君に恋ひ渡りなむ

餌をはみながらさかのぼる鮎が住む川の瀬が速いように、早くもあなたを恋い続けることになるのだろうか。

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金槐和歌集 - 源実朝

君に恋ひうらぶれ居れば秋風に
なびく浅茅の露ぞ消ぬべき

あなたを恋い慕ってしおれていると、秋風になびく浅茅に置く露のように、私は今にも消えてしまいそうだ。

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金槐和歌集 - 源実朝

秋の野に置く白露の朝な朝な
はかなくてのみ消えや返らむ

秋の野に置く白露が毎朝消えるように、私も毎朝はかなく消え入るばかりなのだろうか。

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金槐和歌集 - 源実朝

秋の野の花の千草に物思ふ
露よりもしげき色は見えねど

秋の野のさまざまな花に、物思いをしている。置く露よりもしげい思いの色は、表には見えないけれども。

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金槐和歌集 - 源実朝

物思はぬ野辺の草木の葉にだにも
秋の夕べは露ぞ置きける

物思いなどしない野辺の草木の葉にさえ、秋の夕べには露が置いていることだ。まして物思う私の袖には涙の露が置くのは当然である。

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金槐和歌集 - 源実朝

あしひきの山の尾上に刈る萱の
束の間もなく乱れてぞ思ふ

山の峰で刈る萱の束のように、ほんの少しの間もなく、心が乱れて物思いをすることだ。

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金槐和歌集 - 源実朝

聞かでただあらましものを夕月夜
人だのめなる荻の上風

いっそ聞かずにいればよかったのに。夕月の出る夜、人が来たかと期待させる荻の葉の上を吹く風の音を。

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金槐和歌集 - 源実朝

夕月夜おぼつかなきを雲間より
ほのかに見えしそれかあらぬか

夕月の夜でただでさえおぼろげなのに、雲の切れ間からほのかに見えたのは、あの人だったのか、そうではなかったのか。

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金槐和歌集 - 源実朝

月影のそれかあらぬかかげろふの
ほのかに見えて雲隠れにき

月の光かそうでないのか、かげろうのようにほのかに見えて、雲に隠れてしまった。

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金槐和歌集 - 源実朝

わが恋は百島めぐり浜千鳥
行方も知らぬ方に鳴くなり

私の恋は、多くの島をめぐる浜千鳥のように、行く先もわからない方角で鳴いているようだ。

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金槐和歌集 - 源実朝

夜を寒み鴨の羽交ひに置く霜の
たとひ消ぬとも色に出でめや

夜が寒いので鴨の羽の交わる所に置く霜のように、たとえ消えてしまおうとも、思いを顔色に出したりしようか、いや出しはしない。

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金槐和歌集 - 源実朝

枯れ果てむ後偲べとや夏草の
深くは人の頼めおきけむ

枯れ果ててしまった後で思い出せというのだろうか。夏草が深く茂るように、あの人は深く私を頼みに思わせておいたのだろう。

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金槐和歌集 - 源実朝

天の原風に浮きたる浮雲の
行方定めぬ恋もするかな

大空で風に漂っている浮雲のように、行く先の定まらない恋をすることだなあ。

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金槐和歌集 - 源実朝

久方の天飛ぶ雲の風をいたみ
我はしか思ふ妹にし逢はねば

大空を飛ぶ雲が風の激しさに乱れるように、私もそのように思い乱れている。いとしい人に逢えないので。

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