金槐和歌集 - 源実朝
降る雪を、あなたはどんなにしみじみと眺めていることだろう。心では出かけたいと思っても、足が立たないままで。
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主を知れと言って引いて贈ってくれた馬が雪を分けて行くならば、賢い馬の故事の跡にならって、もとの所へ帰れと思う。
春を待って、霞の衣の袖に重ねて着よと、霜の置いた下着の小袖を置いて、朝起きて出て行くのだ。
炭を焼く人の心も、しみじみと胸にしみることだ。それにしても、この世を生きて過ごしていくならわしというものは。
雪が降って、今日が何日とも分からない奥山で、炭を焼いている老人よ。ああ、はかないことだ。
炭竈から立つ煙も寂しい。大原の古びた里に、雪の降る夕暮れよ。
この身に積もった罪とは、いったいどのような罪なのだろうか。今日降る雪とともに、消えてほしいものだ。
年を重ねると、寒い霜がことのほか冷たく冴えるらしい。わたしの頭は、山の雪ではないのに。
白髪が生えたことといい、老いてしまったせいであろうか。何かにつけて、年の過ぎるのが早く思われることだ。
老いてしまうと、年が暮れていくたびごとに、まるでわが身一つに訪れる暮れのように思われることだ。
何もかも忘れて、ただはかなく過ごしてきてしまった。あわれと思ってくれ、わが身にも積もっていく年よ。
山よりもさらに奥に住まいがあればよいのに。年のやって来るはずのない、隠れ家にしよう。
塵さえも置くまいと思っているのだろうか。過ぎゆく年の跡もない庭を、払っている松風は。
何をする間もなく、はかなく暮れて去っていく年を、しばらくの間でも引きとめる関守がいればよいのに。
宇治川を流れて行く水のように、流れるように早く過ぎていく年の暮れであることよ。
白雪の降る布留の山にある杉の群れ、その「すぎ」の名のように、過ぎ去るまでの間もない年の暮れであることよ。