蜻蛉日記 - 藤原道綱母
悲しくも、思いは絶えてしまうのか。いそのかみ、昔は障りにならないものと慣れていたのに。
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大はこの神の助けがなかったのだろうか。約束したことを思い返して、帰っておしまいになるとは。
蜻蛉日記
下野の二荒ではないが、桶の蓋を、味気なくも、影さえ浮かばない鏡と見ることだ。
差し出された蓋を見ると、身を捨ててまで望んでも、玉は来ないものと定まってしまった。
蜻蛉日記 - 藤原兼家
久しいとは心もとないことだ。唐衣を打ち着て馴れよう。さあ、早く送らせなさい。
困り果てて、また早くと騒ぐけれども甲斐がなくて、時を経るものはこうしたものであったのだ。
関を越えて旅寝となった草枕。かりそめのこととは、また思われないことよ。
心もとないことです。我を忘れたような草枕。まだ知らないのです、こうした旅寝は。
置き添う露に夜ごと濡れてきたこの袖は、思いの火の中にあっても乾く袖でしょうか。
ほんの片時のうちに帰されたその夜の数を数えると、鴫の左右の羽もだるいと鳴くことだ。
どうしたことだろう。鴫の羽掻き、その数も掻き知らないままに、思う甲斐もない声で鳴くのだろうか。
蜻蛉日記 - 藤原道綱
思い初めて、物思いをすることよ。今日からは、逢う日は遥かになってしまうのだろうか。
どうしようもなく、度を過ぎて立ってしまった心であることよ。三輪の山本を尋ね始めて。
三輪の山で待ち迎えることの縁起の悪さに、杉が立っているとも、お知らせすることができないのです。
隠れ沼に生え初めた菖蒲草の、知る人もないままの、深い下根を。
菖蒲草が根にあらわれる今日こそは、いつかいつかと待っていた甲斐もあったことです。