古典和歌stream

蜻蛉日記 - 藤原道綱

うちとけて今日だに聞かむ時鳥
しのびもあへぬときは來にけり

心を許して、せめて今日だけでも聞きたい、ほととぎすの声を。忍びきれない時が来たのだった。

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蜻蛉日記

時鳥かくれなき音を聞かせては
かけはなれぬる身とやなるらむ

ほととぎすが隠れもない声を聞かせてしまっては、かえって遠く離れてしまう身となるのでしょうか。

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蜻蛉日記 - 藤原道綱

物おもふに年經けりとてあやめ草
今日をたびたびすぐしてぞしる

物思いをするうちに年を経てしまったと、菖蒲草の、この今日を幾度も過ごして、初めて知るのだ。

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蜻蛉日記

つもりける年のあやめもおもほえず
今日も過ぎぬる心見ゆれば

積もったという年の文目も、私には分かりません。今日もまた過ぎてしまう心が見えますので。

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蜻蛉日記 - 藤原道綱母

うちとのみ風の心をよすめれば
返しは吹くも劣るらむかし

内へとばかり風の心を寄せておられるようなので、返しに吹くほうは劣ることでございましょう。

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蜻蛉日記 - 藤原道綱母

流れてのとことたのみてこしかども
我が中川はあせにけらしも

流れ続ける床と頼みにして来たけれど、我が中川は浅せてしまったらしい。

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蜻蛉日記 - 藤原道綱

さごろものつまも結ばぬ玉の緖の
絕えみ絕えずみ世をや結ばむ

狭衣の褄も結ばない、その玉の緒のように、絶えたり絶えなかったりして、この世を結んでゆくのだろうか。

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蜻蛉日記 - 藤原道綱

露深き袖にひえつゝあかすかな
たれ長き夜のかたきなるらむ

露深い袖に冷えながら夜を明かすことよ。いったい誰が、この長い夜の敵なのだろう。

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蜻蛉日記 - 藤原道綱母

冬ごもり雪にまどひしをり過ぎて
今日ぞ垣根のうめを尋ぬる

冬ごもりして雪に惑った折も過ぎて、今日こそ垣根の梅を尋ねるのです。

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蜻蛉日記 - 藤原倫寧

枝若み雪まに咲ける初花は
いかにとゝふに匂ひますかな

枝が若いので、雪の間に咲いた初花は、いかがかと尋ねてくださるにつけて、いっそう匂いまさることよ。

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蜻蛉日記 - 藤原道綱母

我が袖のこほりは春も知らなくに
こゝろとけても人の行くかな

我が袖の氷は春が来たことも知らないのに、心解けて行く人もあることよ。

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蜻蛉日記 - 藤原道綱母

もろ聲に鳴くべきものを鶯は
むつきともまだ知らずやあるらむ

声を合わせて鳴くはずのものを、鶯は、睦月ともまだ知らずにいるのだろうか。

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蜻蛉日記 - 藤原道綱母

思ひきや天つそらなるあま雲を
袖して分くる山踏まむとは

思っただろうか。天つ空にある天雲を、袖で分けながら山を踏み分けようとは。

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蜻蛉日記

春雨にぬれたる花の枝よりも
人知れぬ身のそでぞわりなき

春雨に濡れた花の枝よりも、人知れぬ我が身の袖こそ、どうしようもなく濡れている。

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蜻蛉日記

契りおきし卯月はいかに時鳥
我が身のうきにかけ離れつゝ

約束しておいた卯月はどうなるのだろう。時鳥よ。我が身のつらさに、かけ離れてばかりで。

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蜻蛉日記 - 藤原道綱母

なほ忍べ花橘の枝やなき
あふひ過ぎぬる卯月なれども

やはり忍んでいらっしゃい。花橘の枝がないわけではありません。逢う日ならぬ葵の過ぎた卯月ではありますけれど。

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