古典和歌stream

千載和歌集 - 輔仁親王

五月雨に思ひこそやれいにしへの
草の庵の夜半のさびしさ

五月雨の降る中で、しみじみと思いやられることだ。昔の人が住んだ草の庵の、夜更けの寂しさが。

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千載和歌集 - 藤原基俊

いとどしく賤の庵のいぶせきに
卯の花腐し五月雨ぞする

身分の低い者の粗末な庵が、ただでさえいっそう気のふさぐところに、卯の花を腐らせるほどの五月雨が降り続いている。

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千載和歌集 - 源俊頼

おぼつかないつか晴るべきわび人の
思ふ心やさみだれの空

心もとないことだ、いつ晴れるのだろう。思いに沈むわびしい人の、乱れた心そのものが、この五月雨の空なのだろうか。

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千載和歌集 - 藤原顕仲

五月雨に浅沢沼の花かつみ
かつ見るままに隠れゆくかな

五月雨のために水かさが増して、浅沢沼の花かつみは、見ているそばから水に隠れてゆくことだ。

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千載和歌集 - 藤原顕輔

五月雨の日数経ぬれば刈りつみし
賤屋の小菅朽ちやしぬらん

五月雨の降る日数が重なったので、刈って積んでおいた粗末な家の小菅は、もう腐ってしまったのではないだろうか。

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千載和歌集 - 藤原親隆

五月雨に水の水嵩まさるらし
澪のしるしも見えずなりゆく

五月雨のために、水かさが増しているらしい。船の通る水路を示す澪標までもが見えなくなってゆく。

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千載和歌集 - 藤原俊成

五月雨はたく藻の煙うちしめり
潮垂れまさる須磨の浦人

五月雨の頃は、藻塩を焼く煙もすっかり湿って、須磨の浦人はいっそう潮に濡れ、涙がちに暮らしていることだ。

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千載和歌集 - 藤原清輔

時しもあれ水の水菰を刈りあげて
干さで朽たしつ五月雨の空

ほかに時もあろうに、水辺の真菰を刈り上げたところで、干すこともできないまま腐らせてしまった。五月雨の降る空のために。

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千載和歌集 - 安芸

五月雨は海人の藻塩木朽ちにけり
浦辺に煙絶えてほど経ぬ

五月雨のために、海人が藻塩を焼く薪も朽ちてしまった。浦辺に立つ煙が絶えて、もう久しくなる。

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千載和歌集 - 源行頼

五月雨に室の八島を見わたせば
煙は浪の上よりぞ立つ

五月雨の降る頃、室の八島を見渡すと、いつもは地から立つ煙が、波の上から立ちのぼっている。

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千載和歌集 - 源仲正

五月雨は苫の雫に袖濡れて
あなしほどけの浪のうきねや

五月雨の頃は、舟の苫から垂れる雫に袖が濡れて、ああ、潮気にしっとりと湿る、波の上のつらい浮き寝であることよ。

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千載和歌集 - 賀茂成保

五月雨の雲の晴れ間に月冴えて
山時鳥空に鳴くなり

五月雨を降らせる雲の晴れ間に、月が冴え冴えと照って、山時鳥が空で鳴いているのが聞こえる。

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千載和歌集 - 源資賢

をちかへり濡るとも来鳴け時鳥
今いくかかは五月雨の空

何度も繰り返し、たとえ雨に濡れても来て鳴いておくれ、時鳥よ。五月雨の空も、あと幾日続くというのか。

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千載和歌集 - 源師時

逢坂の山時鳥名告るなり
関守る神や空に問ふらん

逢坂の山の時鳥が、名を告げるように鳴いている。関を守る神が、空を行く時鳥に名を問いただしているのだろうか。

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千載和歌集 - 慶暹

いにしへを恋ひつつひとり越えくれば
なきあふ山の時鳥かな

亡き院の在りし日を恋い慕いながら、ひとりで山を越えて来ると、私の泣くのに合わせるように鳴いてくれる山の時鳥であることよ。

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千載和歌集 - 源俊頼

などてかく思ひ初めけん時鳥
雪の深山の法の末かは

どうしてこれほど深く時鳥に心を寄せはじめたのだろう。その声が、雪山で求められた仏法の、残りの教えでもあるまいに。

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