千載和歌集 - 藤原公能
あたりまでもが涼しいことだ、氷室山は。引き入れた水が凍っているだけだろうか、いやそればかりではない。
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千載和歌集 - 慈円
山陰では、岩の間から漏れ流れる清水の音が冷たく澄んで、夏とは思えないひぐらしの声が聞こえる。
千載和歌集 - 藤原道経
夕方になると、流れに浮かぶしぶきの玉の数も見えなくなるけれども、関の小川の水音は涼しく聞こえる。
千載和歌集 - 俊恵
岩の間から漏れ流れる清水を我が家に引いてせき止めたので、夏は我が家の外をよそごととして過ぎていったことだ。
千載和歌集 - 顕昭
そうでなくてさえ光の涼しい夏の夜の月を、清水に映して眺めることだ。
千載和歌集 - 実快
せき止めた山の下を流れる水の中に隠れて、住んでいたのだなあ、秋の気配は。その水は、秋のように澄みきっていた。
千載和歌集 - 藤原経家
我ながら、この短い夏の夜がそれほど惜しいのだろうか。見れば、有明の月もなお山の端に残っている。
千載和歌集 - 祝部成仲
夏の夜の月の光はまだ差したままで、天の戸も閉ざしたままであるのに、どうして夜は明け、天の戸は開いてしまったのだろう。
夕立の雲がまだすっかりは晴れきらない切れ間から、先ほどと同じ空とも思えないほど澄んだ月が見えることだ。
千載和歌集 - 藤原敦仲
萩の原にまだ花の咲かない宮城野の鹿は、秋のような今宵の月に誘われて、鳴いているのだろうか。
夏衣の裾を引いて裾野の原を分けて行くと、季節の折を取り違えて咲いた萩の花が、衣に花摺りの模様をつけたことだ。
千載和歌集 - 藤原親盛
秋風は、波とともに山を越えてやって来たのだろうか。まだ夏なのに、もう涼しい末の松山であることよ。
千載和歌集 - 藤原教長
岩を打って流れる谷川の水音だけが訪れて、夏には知られることのない、奥深い山のほとりの里であることよ。
千載和歌集 - 藤原盛方
岩の間から落ちてくる滝の、白糸のような流れは、手ですくわずにただ見ているだけでも涼しいことだ。
千載和歌集 - 藤原季通
六月祓の今日が来たので、麻の立ち枝に木綿を掛けて、夏もすべて尽きる水無月の禊をすることだ。
千載和歌集 - 藤原俊成
いつであっても惜しくないことがあろうか、過ぎてゆく年月は。その年月を、禊とともに流し捨てる夏の暮れであることよ。