古典和歌stream

山家集 - 西行

まがふべき月なき頃の卯の花は
夜さへさらす布かとぞ見る

見まがうはずの月の光もない頃の卯の花は、夜までも晒している白い布かと見えることだ。

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山家集 - 西行

神垣のあたりに咲くもたよりあれや
木綿かけたりと見ゆる卯の花

神社の垣根のあたりに咲いているのも、それにふさわしいゆかりがあるからだろうか。神に捧げる木綿を掛けたように見える卯の花であることよ。

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山家集 - 西行

郭公人に語らぬ折にしも
初音聞くこそかひなかりけれ

ほととぎすよ、人と話をしない無言の行の折に限って、その初音を聞くとは、人に語って聞かせることもできず、かいのないことだ。

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山家集 - 西行

ほととぎす卯月の忌にい籠るを
思ひ知りても来鳴くなるかな

ほととぎすは、卯月の神事の忌みのために籠もっている私たちを、それと察して、わざわざ来て鳴いているようだ。

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山家集 - 西行

里馴るる黄昏時のほととぎす
聞かず顔にてまた名告らせん

人里に馴れて夕暮れ時に鳴くほととぎすよ、聞かないふりをして、もう一度名のらせてみよう。

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山家集 - 西行

我が宿に花橘を植ゑてこそ
山ほととぎす待つべかりけれ

自分の家に花橘を植えてこそ、山ほととぎすを待つべきであったのだ。

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山家集 - 西行

尋ぬれば聞きがたきかと郭公
今宵ばかりは待ちこころみん

こちらから尋ねて行くとかえって聞きにくいものなのかと思い、ほととぎすを、今夜だけは家にいて待ってみよう。

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山家集 - 西行

郭公待つ心のみ尽くさせて
声をば惜しむ五月なりけり

ほととぎすは、待つ私の心ばかりをすり減らさせて、肝心の声は惜しんで聞かせない、そんな五月であることよ。

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山家集 - 西行

待つ人の心を知らばほととぎす
頼もしくてや夜を明かさまし

待っている人の心をほととぎすが知っていてくれるのなら、待つ身も頼もしく思って夜を明かすことができるだろうに。

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山家集 - 西行

ほととぎす聞かで明けぬと告げ顔に
待たれぬ鳥の音ぞ聞こゆなる

ほととぎすを聞かないまま夜が明けてしまったと告げるような顔つきで、待ってもいない鶏の声が聞こえてくるようだ。

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山家集 - 西行

郭公聞かで明けぬる夏の夜の
浦島の子はまことなりけり

ほととぎすを聞かないままに夏の夜が明けてしまった。そのあっけなさを思えば、浦島の子の話は本当のことであったのだ。

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山家集 - 西行

ほととぎす聞かぬものゆゑ迷はまし
春を尋ねぬ山路なりせば

ほととぎすの声も聞けないうえに、道にまで迷っていたことだろう。もしここが、春に花を尋ねて通ったことのない山路であったならば。

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山家集 - 西行

待つことは初音までかと思ひしに
聞きふるされぬほととぎすかな

待ち焦がれるのは初音を聞くまでかと思っていたのに、何度聞いても聞き古されることのないほととぎすであることよ。

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山家集 - 西行

聞き送る心を具してほととぎす
高間の山の峰越えぬなり

鳴き声を聞きながら見送る私の心を連れて、ほととぎすは高間の山の峰を越えて行ってしまったようだ。

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山家集 - 西行

大井川小倉の山のほととぎす
井堰に声のとまらましかば

大井川に臨む小倉山のほととぎすよ、川の水をせき止める井堰に、その声もとどまってくれたらよいのに。

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山家集 - 西行

ほととぎすその後越えん山路にも
語らふ声は変はらざらなん

ほととぎすよ、この後に越えて行く山路でも、こうして親しく語りかけてくる声は変わらないでいてほしい。

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