古典和歌stream

源氏物語 - 紫式部

いづ方の雲路に我も迷ひなむ
月の見るらむことも恥づかし

どの方角の雲路に自分も迷うことになるのだろう。月が見ているであろうことも恥ずかしい。

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源氏物語 - 紫式部

友千鳥諸声に鳴く暁は
ひとり寝覚の床も頼もし

仲間の千鳥が声を合わせて鳴く暁は、一人で目覚める床も心強く思われる。

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源氏物語 - 紫式部

いつとなく大宮人の恋しきに
桜かざしし今日も来にけり

いつと限らず宮中の人々が恋しいところへ、桜を挿頭にしたあの日が今年もめぐって来たことだ。

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源氏物語 - 紫式部

故郷をいづれの春か行きて見む
うらやましきは帰る雁がね

故郷をどの春に行って見ることができるだろうか。うらやましいのは帰っていく雁であることよ。

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源氏物語 - 紫式部

あかなくに雁の常世を立ち別れ
花の都に道や惑はむ

名残尽きないのに、雁の常世を立ち別れて、花の都への道に迷うことでしょうか。

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源氏物語 - 紫式部

雲近く飛び交ふ鶴も空に見よ
我は春日の曇りなき身ぞ

雲の近くを飛び交う鶴も、空から見てほしい。私は春の日のように曇りのない身なのだ。

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源氏物語 - 紫式部

たづかなき雲居にひとり音をぞ鳴く
翼並べし友を恋ひつつ

頼るもののない雲居で一人声を上げて鳴くのだ。翼を並べた友を恋しく思いながら。

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源氏物語 - 紫式部

知らざりし大海の原に流れ来て
ひとかたにやはものは悲しき

知りもしなかった大海原に流れ着いて、悲しみは一つ方向だけのものだろうか。

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源氏物語 - 紫式部

八百よろづ神もあはれと思ふらむ
犯せる罪のそれとなければ

八百万の神々も哀れと思ってくださるだろう。犯した罪というものが、これといってないのだから。

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源氏物語 - 紫式部

浦風やいかに吹くらむ思ひやる
袖うちぬらし波間なきころ

そちらの浦の風はどのように吹いているのでしょうか。お案じ申し上げる私の袖も涙に濡れて、乾く間もないこのごろです。

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源氏物語 - 紫式部

海にます神のたすけにかからずは
潮のやほあひにさすらへなまし

海においでになる神の助けにすがらなかったなら、八方から寄せる潮の合わさるあたりを漂っていたことだろう。

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源氏物語 - 紫式部

はるかにも思ひやるかな知らざりし
浦よりをちに浦づたひして

はるか遠くからあなたを思いやることだ。見も知らなかった浦から、さらにその先へと浦伝いに移ってきて。

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源氏物語 - 紫式部

あはと見る淡路の島のあはれさへ
残るくまなく澄める夜の月

あれと見た淡路の島の、あの感慨までも残るところなく照らし出す、澄んだ夜の月であることよ。

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源氏物語 - 紫式部

ひとり寝は君も知りぬやつれづれと
思ひあかしのうらさびしさを

ひとり寝の寂しさは、あなたさまもお分かりになりましたでしょうか。することもないままに物思いに沈んで夜を明かす、明石の浦の、あの子の寂しさを。

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源氏物語 - 紫式部

旅ごろもうらがなしさにあかしかね
草の枕は夢もむすばず

旅の衣の裏ではないが、うら悲しさに夜を明かしかねて、草の枕では夢を結ぶこともない。

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源氏物語 - 紫式部

をちこちも知らぬ雲ゐにながめわび
かすめし宿の梢をぞとふ

遠いも近いも分からない雲居を眺めては思いわびて、ほのめかされたお住まいの梢を訪ねるのです。

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