- 表題
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- 源氏物語
源氏物語 - 紫式部
思ふらん心のほどややよいかに
まだ見ぬ人の聞きかなやまむ
お思いくださるというお心のほどは、さあ、どれほどのものでございましょうか。まだお目にかかったこともない者が、お噂を聞いただけで思い悩むことなどございましょうか。
源氏物語 - 紫式部
かきつめてあまのたく藻の思ひにも
今はかひなきうらみだにせじ
かき集めて海人が焚く藻の火のように思いは燃えておりますが、今はもう甲斐のないことですから、お恨み申し上げることさえいたしますまい。
源氏物語 - 紫式部
なほざりに頼めおくめる一ことを
つきせぬ音にやかけてしのばん
いい加減にお頼みにさせておかれるらしいそのひと言を、尽きることのない琴の音に、また泣く音にかけて、お慕い申し上げることになるのでしょうか。
源氏物語 - 紫式部
寄る波にたちかさねたる旅ごろも
しほどけしとや人のいとはむ
寄せる波ではありませんが、裁ち重ねましたこの旅の衣が涙に濡れているからといって、あなたさまがお厭いになることなどございましょうか。