- 表題
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- 詞花和歌集
詞花和歌集 - 大中臣能宣
御垣守衛士のたく火の夜は燃え
昼は消えつつものをこそ思へ
宮中の御門を守る衛士がたくかがり火が、夜は燃えて昼は消えているように、わたしも夜は恋の思いに燃え、昼は消え入るように思い悩んでいる。
詞花和歌集 - よみ人しらず
わが恋やふたみ変はれる玉櫛笥
いかにすれどもあふかたもなき
わたしの恋は、蓋と身が取り違えられた櫛箱なのだろうか。どうしても合う方法がないように、どうしても逢う手立てがない。
氷して音はせねども山川の
下に流るるものと知らずや
氷が張って音はしないけれども、山の川は氷の下を流れているものだと知らないのか。わたしの思いも表には出さないが、心の底では絶えず流れているのだ。
詞花和歌集 - 崇徳院
瀬をはやみ岩にせかるる滝川の
われても末に逢はむとぞ思ふ
川の瀬の流れが速いので、岩にせき止められる急流が二つに分かれても、末にはまた一つに合うように、今は別れても、いつかは必ず逢おうと思う。
わが恋はあひそめてこそまさりけれ
飾磨のかちの色ならねども
わたしの恋は、逢いはじめてからこそいっそう深まったことだ。藍を重ねて染めるほど色が濃くなる飾磨の褐の色ではないけれども。
詞花和歌集 - 清原元輔
夜を深み帰りし空もなかりしを
いづくより置く露に濡れけむ
夜がまだ深かったので、帰る道の空も目に入らず、心も上の空であったのに、いったいどこから置いた露に、この袖は濡れたのだろうか。
詞花和歌集 - 藤原俊成
心をばとどめてこそは帰りつれ
あやしや何の暮れを待つらむ
心はあの人のもとに残してきてこそ帰ってきたのだ。不思議なことだ、それなのにいったい何が、夕暮れを待っているのだろうか。
詞花和歌集 - 和泉式部
我のみや思ひおこせむあぢきなく
人は行方も知らぬものゆゑ
わたしだけが、あの人のほうへ思いを送り続けるのだろうか。つまらないことに、あの人はわたしの行方さえ知らないというのに。