- 表題
- -
- 詞花和歌集
訪はぬ間をうらむらさきに咲く藤の
何とてまつにかかりそめけむ
訪れてくれない間を恨みながら、うら紫に咲く藤が松にかかるように、どうしてあの人を待つ身になってしまったのだろうか。
詞花和歌集 - 藤原仲実
汲み見てし心一つをしるべにて
野中の清水忘れやはする
かつて汲んで味わったときの心ひとつを道しるべとして、野中の清水を忘れることなどあろうか。かつて心を通わせたあの人を忘れはしない。
詞花和歌集 - 藤原基俊
浅茅生に今朝置く露の寒けくに
かれにし人のなぞや恋しき
浅茅の生えた野に今朝置いた露が寒々としているので、枯れていく草のように離れていってしまった人が、どうしてこうも恋しいのだろうか。
詞花和歌集 - 相模
夕暮れは待たれしものを今はただ
行くらむ方を思ひこそやれ
夕暮れは、あの人の訪れが自然と待たれたものだったのに、今はただ、あの人が今ごろ向かっているであろう方角を思いやるばかりだ。