古典和歌stream

山家集 - 西行

水なしと聞きてふりにし勝間田の
池改むる五月雨の頃

水がないと聞いて久しく古びてしまった勝間田の池を、すっかり改めて水で満たしてしまう五月雨の頃であることよ。

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山家集 - 西行

五月雨は行くべき道のあてもなし
小笹が原もうきに流れて

五月雨の頃は、行くべき道の見当もつかない。小笹の生える原までも、泥の湿地となって水に流されて。

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山家集 - 西行

五月雨は山田の畦の滝枕
数を重ねて落つるなりけり

五月雨の頃は、山あいの田の畦から落ちる水が、いくつもの滝枕となって、段々に重なり合って落ちていることよ。

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山家集 - 西行

川端の淀みに止まる流れ木の
浮橋渡す五月雨の頃

川辺の淀みに流れついて止まった流木が、まるで浮橋を渡したようになっている五月雨の頃であることよ。

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山家集 - 西行

思はずにあな釣りにくき小川かな
五月の雨に水まさりつつ

思いがけず、ああ、なんとも釣りにくくなった小川であることよ。五月の雨で水かさがどんどん増していって。

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山家集 - 西行

風をのみ花なき宿は待ち待ちて
泉の末をまた掬ぶかな

花も咲いていない我が家では、涼しい風ばかりを待ちに待って、隣の泉から流れてくる末の水を、またすくって涼をとることよ。

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山家集 - 西行

水の音に暑さ忘るるまとゐかな
梢の蝉の声もまぎれて

流れる水の音に暑さも忘れてしまう、楽しい集まりであることよ。梢で鳴く蝉の声も水音に紛れてしまって。

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山家集 - 西行

杣人の暮れに宿借る心地して
庵を叩く水鶏なりけり

杣人が日暮れに宿を借りようと戸を叩くような気がしたが、庵を叩いていたのは水鶏であった。

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山家集 - 西行

夏山の夕下風の涼しさに
楢の木陰の立たま憂きかな

夏山の夕暮れに木の下を吹く風の涼しさに、楢の木陰から立ち去るのがつらく感じられることよ。

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山家集 - 西行

かき分けて折れば露こそこぼれけれ
浅茅に交じる撫子の花

草をかき分けて折り取ると、露がこぼれ落ちたことよ。浅茅に交じって咲く撫子の花は。

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山家集 - 西行

露重み園の撫子いかならん
荒く見えつる夕立の空

雨の露が重いので、庭の撫子はどうなっているだろうか。荒々しく見えた夕立の空であったことよ。

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山家集 - 西行

御秣に原の小薄しがふとて
臥所あせぬと鹿思ふらん

馬の飼い葉にしようと野原の小薄を刈り取るので、寝床が荒れてしまったと、鹿は思っていることだろう。

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山家集 - 西行

旅人の分くる夏野の草茂み
葉末に菅の小笠はづれて

旅人が分けて進む夏の野は草が深く茂っているので、旅人のかぶる菅の小笠だけが、草の葉先からはずれてのぞいて見える。

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山家集 - 西行

雲雀あがる大野の茅原夏来れば
涼む木陰を尋ねてぞ行く

雲雀が舞い上がる広い野の茅原も、夏が来ると草が茂り、涼むための木陰を探し求めて進んで行くことだ。

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山家集 - 西行

照射する火串の松も替へなくに
鹿目合はせで明かす夏の夜

照射の火串に挿した松明を取り替えもしないうちに、鹿と目を合わせることもないまま明けてしまう、夏の短い夜であることよ。

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山家集 - 西行

夏の夜は篠の小竹の節近み
そよやほどなく明くるなりけり

夏の夜は、篠竹の節と節の間が短いように、そうよ、ほどもなくすぐに明けてしまうのだなあ。

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