古典和歌stream

山家集 - 西行

常よりも秋になるをの松風は
わきて身にしむ心地こそすれ

いつもよりも、秋になる鳴尾の松風は、とりわけ身にしみる心地がすることだ。

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山家集 - 西行

急ぎ起きて庭の小草の露踏まん
やさしき数に人や思ふと

急いで起きて庭の小草の露を踏もう。風流を解する人の数に、人が入れてくれるかと思って。

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山家集 - 西行

暮れぬめり今日待ちつけて七夕は
うれしきにもや露こぼるらん

日が暮れたようだ。今日の日を待ちおおせて、織女はうれしさにも涙の露をこぼしているのだろうか。

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山家集 - 西行

天の川今日の七日は長き世の
ためしにも引き忌みもしつべし

天の川の、今日七月七日という日は、末長い仲の例としても引くべきだし、また一夜限りの逢瀬として忌み避けもすべき日である。

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山家集 - 西行

船寄する天の河辺の夕暮は
涼しき風や吹きわたるらん

彦星が船を寄せる天の川の岸辺の夕暮れには、涼しい風が吹き渡っているのだろうか。

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山家集 - 西行

待ちつけてうれしかるらん七夕の
心のうちぞ空に知らるる

待ちおおせてうれしいことであろう七夕の星の心のうちが、空の様子からおのずとわかることだ。

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山家集 - 西行

ささがにの蜘蛛手にかけて引く糸や
今日七夕にかささぎの橋

蜘蛛が四方八方に張りわたして引いている糸は、今日七夕のために架ける鵲の橋なのだろうか。

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山家集 - 西行

夕露を払へば袖に玉消えて
道分けかぬる小野の萩原

夕露を払うと、袖の上で露の玉が消えてしまい、道を分けて進みかねる小野の萩原である。

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山家集 - 西行

末葉吹く風は野もせにわたるとも
荒くは分けじ萩の下露

葉先を吹く風は野いっぱいに吹き渡るとしても、私は荒々しく分けて行くまい。萩の下葉に置く露を。

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山家集 - 西行

糸薄縫はれて鹿の臥す野辺に
ほころびやすき藤袴かな

糸のように細い薄に縫い包まれるようにして鹿が臥している野辺に、ほころびやすい藤袴が咲いていることよ。

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山家集 - 西行

折らで行く袖にも露ぞこぼれける
萩の葉茂き野辺の細道

花を折らずに通り過ぎる私の袖にも、露がこぼれかかったことだ。萩の葉が茂る野辺の細道では。

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山家集 - 西行

穂に出づる深山が裾の群薄
籬にこめて囲ふ秋霧

穂を出している深山の裾の群薄を、垣根の内に閉じこめるようにして囲っている秋霧である。

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山家集 - 西行

乱れ咲く野辺の萩原分け暮れて
露にも袖を染めてけるかな

乱れ咲く野辺の萩原を分け歩くうちに日が暮れて、露によっても袖を萩の色に染めてしまったことだ。

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山家集 - 西行

咲き添はん所の野辺にあらばやは
萩より外の花も見るべき

ほかの花が咲き加わるような余地が野辺にあるのならば、萩以外の花も見られようが、それもない。

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山家集 - 西行

分けて入る庭しもやがて野辺なれば
萩の盛りを我がものに見る

分けて入る庭そのものが、そのまま野辺になっているので、萩の盛りを自分だけのものとして見ることだ。

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山家集 - 西行

今日ぞ知るその江に洗ふ唐錦
萩咲く野辺にありけるものを

今日はじめて知った。あの江で洗うという唐錦は、萩の咲く野辺にあったのだなあ。

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