古典和歌stream

山家集 - 西行

茂り行きし原の下草尾花出でて
招くは誰を慕ふなるらん

茂っていった野原の下草の中から尾花が穂を出して、手招きしているのは、いったい誰を慕っているのだろうか。

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山家集 - 西行

花薄心あてにぞ分けて行く
ほの見し道の跡しなければ

花薄の中を、見当をつけて分けて行く。かすかに見えた道の跡も、今はもう見えなくなっているので。

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山家集 - 西行

籬荒れて薄ならねど刈萱も
茂き野辺とも成りにけるものを

籬が荒れて、薄ではないけれども、刈萱もまた茂った野辺となってしまったことだなあ。

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山家集 - 西行

女郎花分けつる野辺と思はばや
同じ露にしぬると見てぞは

女郎花の咲く中を分けてきた野辺だと思いたいものだ。女郎花と同じ露に濡れて、共に寝たかのように見えるからには。

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山家集 - 西行

女郎花色めく野辺に触ればはん
袂に露やこぼれかかると

女郎花が艶やかに色づいて咲く野辺に寄り添ってみよう。袂に露がこぼれかかるかと思って。

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山家集 - 西行

今朝見れば露のすがるに折れ伏して
おきもあがらぬ女郎花かな

今朝見ると、露が取りすがる重みに折れ伏して、起き上がることもできない女郎花であることよ。

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山家集 - 西行

おほかたの野辺の露にはしをるれど
我が涙なき女郎花かな

世間並みの野辺の露にはしおれているけれども、私のような涙はかかっていない女郎花であることよ。

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山家集 - 西行

花が枝に露の白玉貫きかけて
折る袖濡らす女郎花かな

花の咲く枝に露の白玉を糸で貫いたように掛けて、手折る人の袖を濡らす女郎花であることよ。

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山家集 - 西行

折らぬより袖ぞ濡れぬる女郎花
露結ぼれて立てるけしきに

手折らないうちから袖が濡れてしまった。女郎花が露に結ぼれて、思い沈んだように立っている様子を見ると。

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山家集 - 西行

池の面に影をさやかに映しても
水鏡見る女郎花かな

池の水面に自分の姿をくっきりと映して、まるで水鏡を見ているような女郎花であることよ。

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山家集 - 西行

類なき花の姿を女郎花
池の鏡に映してぞ見る

比べるもののない美しい花の姿を、女郎花は池の鏡に映して眺めていることだ。

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山家集 - 西行

女郎花池のさ波に枝ひちて
もの思ふ袖の濡るる顔なる

女郎花は池のさざ波に枝を浸して、もの思いをする人の袖が涙に濡れているような顔つきである。

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山家集 - 西行

思ふにも過ぎてあはれに聞こゆるは
荻の葉乱る秋の夕風

思っていた以上に、しみじみと心にしみて聞こえるのは、荻の葉を乱して吹く秋の夕風である。

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山家集 - 西行

おしなべて木草の末の原までに
なびきて秋のあはれ見えけり

一様に、木や草の葉先が原の果てまで風になびいて、秋のしみじみとした情趣が目に見えることだ。

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山家集 - 西行

牡鹿伏す萩咲く野辺の夕露を
しばしもためぬ荻の上風

牡鹿が臥している萩の咲く野辺の夕露を、少しの間もとどめておかない、荻の上を吹く風であることよ。

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山家集 - 西行

あたりまであはれ知れとも言ひ顔に
荻の音こす秋の夕風

あたりの家にまで、あわれを知れとでも言っているかのように、荻の葉音を送ってよこす秋の夕風であるよ。

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