万葉集 - 大納言大伴卿
奥山の菅の葉を押し伏せて降り積もった雪が消えてしまったら惜しいだろう。雨よ、降らないでおくれ。
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万葉集 - 長屋王
佐保を過ぎて奈良山の峠の神に供える幣は、妻と絶えることなく会わせてくださいと願ってのことだ。
岩がごつごつと険しい山を越えかねて、声を上げて泣くことはあっても、恋しい思いを顔色に出したりするものか。
万葉集 - 阿倍広庭
あの娘の家への道は少し遠いのに、夜空を渡っていく月と競って、月が沈む前に行き着けるだろうか。
万葉集 - 柿本人麻呂
名も美しい印南の海の沖の波の、幾重にも重なる向こうに隠れてしまった。大和の国土の山々は。
大君の遠く離れた政庁へと人々が行き来し続けてきた島々の間の海峡を見ると、神代のことがしのばれる。
万葉集 - 高市黒人
こうなるから見まいと言っていたのに。楽浪の古い都を見せて、むやみに心を痛ませることだ。
万葉集 - 安貴王
伊勢の海の沖の白波が花であったらなあ。包んで持ち帰り、妻への土産にしよう。
万葉集 - 博通
久米の若子がお住みになっていたという三穂の岩屋は、いくら見ても見飽きないことだ。
永遠に変わらない岩のような石室は今もあるけれど、そこに住んでいた人ははかなく、いなくなってしまったことだ。
石室の入り口に立っている松の木よ、お前を見ていると、昔の人に会っているようだ。
万葉集 - 門部王
東の市の並木の枝が茂って垂れ下がるほど長いこと逢っていないので、恋しく思うのももっともなことだ。
万葉集 - 按作益人
豊国の鏡山を、長いこと見ないでいたならば、恋しく思うことだろうなあ。
万葉集 - 藤原宇合
昔こそ難波は田舎だと言われていただろうが、今は都をここに移して、すっかり都らしくなったことだ。
万葉集 - 土理宣令
吉野の激流の白波を私は実際には見て知らないけれど、人々が語り継いでいるので、昔のことが思われる。
万葉集 - 波多小足
磯越道にある能登瀬川は、激しく流れるどの瀬ごとにも、その水音のなんとすがすがしいことよ。