- 表題
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- 源氏物語
源氏物語 - 紫式部
末遠き二葉の松にひきわかれ
いつか木高きかげを見るべき
老い先の長い、芽ばえたばかりの二葉の松のような幼い姫君と別れて、いつになったら木高く育った姿を見ることができるのだろうか。
源氏物語 - 紫式部
いさりせし影わすられぬかがり火は
身のうき舟やしたひきにけん
明石の浦で漁をしていた折の、忘れられないあの篝火は、憂きわが身の浮き舟が、その火を慕ってついて来たのでございましょうか。
源氏物語 - 紫式部
あさからぬしたの思ひをしらねばや
なほかがり火のかげはさわげる
浅くない、水の下の私の深い思いを知らないからだろうか、それでもやはり篝火の火影は水面で乱れ騒いでいる。そのようにあなたも、私の深い心を知らずに、なお一人で嘆いているのだろうか。
源氏物語 - 紫式部
見しをりのつゆわすられぬ朝顔の
花のさかりは過ぎやしぬらむ
昔お逢いした時のことが少しも忘れられない、その朝顔の花の盛り――あなたの女盛りの美しさは、もう過ぎてしまったのだろうか。
源氏物語 - 紫式部
いつのまによもぎがもととむすぼほれ
雪ふる里と荒れし垣根ぞ
いつの間に、蓬の根がからみあうような場所となり、雪の降る古里となって荒れ果ててしまった、昔なじみのこの家の垣根であることよ。
源氏物語 - 紫式部
あらためて何かは見えむ人のうへに
かかりと聞きし心がはりを
今さらあらためて、どうしてあなたにお目にかかりましょう。世間の人の身の上にはそうした心変わりもあると聞きますが、私にはできません。