金槐和歌集 - 源実朝
冬が深いので氷に閉ざされた山川の水を、汲む人もないままに、年は暮れてしまうのだろうか。
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わが家の門の板井の清水は、冬が深まって影が映って見えない。凍っているらしいなあ。
はらの池では、葦の間に張った氷が多いので、とぎれとぎれに月の光が澄んで映っていることだ。
比良の山から吹く山風が寒いので、唐崎の琵琶湖では、水に映る月までもが凍っている。
千鳥の鳴く佐保の川原の月が清らかに澄んでいるので、袖が寒い。夜が更けてしまったのだろうか。
夜が更けて、雲の切れ間から差す月の光を見ると、袖には冷たさも感じられない霜が置いていることだ。
月の光が白いのを見ると、かささぎが渡した橋に、霜が置いたのだろうか。
大空が寒々としているので、夜空を渡っていく月に向かって、松風が吹いている。
月の澄んでいる磯を吹く松風が冷え冷えとして、雪が積もったかのように白く見える白浜であることよ。
夜が更けたことだ。外山の嵐が冷たく冴えわたり、十市の里に澄みわたっている月の光よ。
雲の深くかかる山の嵐が冷たく冴えわたって、生駒の嶽には霰が降っているらしい。
武士が箙に差した矢の並びを整えている、その籠手の上に、霰が激しく飛び散る那須の篠原よ。
笹の葉に、山全体がそよそよと鳴るほど霰が降り、この寒い霜夜を、独りで寝ることになるのだろうか。
笹の葉に霰がざわざわと音を立て、山辺の峰の木枯らしがしきりに吹いた。
夕月の出ている夜、佐保川の川風が身にしみて、袖のそばを通り過ぎていく千鳥の鳴く声が聞こえる。
降り積もった雪を踏んで磯にいる浜千鳥が、波に濡れしおれて、夜中に鳴いている。