- 表題
- -
- 古今和歌集
古今和歌集 - よみ人しらず
えぞ知らぬ今試みよ命あらば
我や忘るる人や訪はぬと
どうなるかはとても分からない。今に試してみなさい、命があるならば、私があなたを忘れるのか、あなたが訪ねて来なくなるのかを。
古今和歌集 - 清原深養父
雲居にも通ふ心の後れねば
別ると人に見ゆばかりなり
はるかな空の果てまでも通っていく私の心は、あなたに遅れずついて行くので、別れるというのは、ただ人目にそう見えるだけのことなのだ。
古今和歌集 - 良岑秀崇
白雲のこなたかなたにたち別れ
心を幣と砕く旅かな
白雲が立ってこちらとあちらに分かれるように、あなたと私は別れ別れになり、道祖神に手向ける幣を細かく切るように、心を千々に砕く旅であることよ。
古今和歌集 - 凡河内躬恒
かへる山何ぞはありてあるかひは
来てもとまらぬ名にこそありけれ
かへる山は何のためにあるのか、そのあるかいは、都に来てもとどまらずにまた帰って行くという、その名のためにこそあったのだなあ。
古今和歌集 - 凡河内躬恒
よそにのみ恋ひやわたらむ白山の
雪見るべくもあらぬ我が身は
遠く離れたところで恋しく思い続けるばかりなのだろうか、越の白山の雪を見ることなどできそうにもない、この私の身は。
古今和歌集 - 藤原兼茂
もろともに鳴きてとどめよきりぎりす
秋の別れは惜しくやはあらぬ
私たちと一緒に鳴いて、旅立つ人を引きとめておくれ、きりぎりすよ。秋との別れは、お前にとっても惜しくないことがあろうか。
古今和歌集 - 平元規
秋霧のともにたち出でて別れなば
はれぬ思ひに恋ひや渡らむ
秋霧が立ちこめるのとともに、あなたが旅立って別れてしまったならば、霧が晴れないように晴れない思いのまま、恋い続けることになるのだろうか。
古今和歌集 - 紀貫之
かつ越えて別れも行くかあふさかは
人頼めなる名にこそありけれ
越えるそばから、こうして別れても行くのか。逢坂というのは、人に「逢う」と期待させるだけの、あてにならない名であったのだなあ。