古典和歌stream

山家集 - 西行

惜しむ夜の月にならひて有明の
入らぬを招く花薄かな

人々が夜の月の名残を惜しむのにならって、有明の月がまだ沈まないうちにと手招きしている花薄であることよ。

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山家集 - 西行

花薄月の光にまがはまし
深きますほの色に染めずは

花薄は月の光と見分けがつかなくなってしまうだろう。もし深い赤みを帯びたますほの色に染まっていなかったならば。

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山家集 - 西行

月澄むと荻植ゑざらん宿ならば
あはれ少なき秋にやあらまし

月が澄んでいるといっても、荻を植えていない家であったならば、あわれの少ない秋であっただろうか。

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山家集 - 西行

月なくは暮れば宿へや帰らまし
野辺には花の盛りなりとも

もし月がなかったならば、日が暮れたら家へ帰ってしまっただろうか。たとえ野辺には花が盛りであっても。

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山家集 - 西行

花の頃を影に映せば秋の夜の
月も野守の鏡なりけり

花の盛りの頃の野のさまを、その光の中に映し出すので、秋の夜の月もまた、野守の鏡なのであった。

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山家集 - 西行

月の色を花に重ねて女郎花
上裳の下に露をかけたる

月の光の色を花の上に重ねて、女郎花は、その上に着た裳の下に、露を掛けて身につけている。

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山家集 - 西行

宵の間の露にしをれて女郎花
有明の月の影にたはるる

宵のうちは露にしおれていた女郎花が、明け方の有明の月の光の中では、戯れるように揺れている。

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山家集 - 西行

庭冴ゆる月なりけりな女郎花
霜にあひぬる花と見たれば

庭を冷たく白く冴えさせる月の光だったのだなあ。女郎花を、霜に打たれた花かと見たので。

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山家集 - 西行

月の澄む浅茅にすだくきりぎりす
露の置くにや秋を知るらん

月の澄みわたる浅茅の中に集まって鳴くこおろぎは、露が置くのによって秋を知るのだろうか。

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山家集 - 西行

露ながらこぼさで折らん月影に
小萩が枝の松虫の声

置いた露をそのままに、こぼさないようにして折り取ろう。月の光の中で、小萩の枝で鳴く松虫の声もろともに。

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山家集 - 西行

わがよとや更けゆく空を思ふらん
声も休まぬきりぎりすかな

自分の盛りの世、自分の夜だと思って、更けていく夜空を思っているのだろうか。声も休めずに鳴き続けるこおろぎであることよ。

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山家集 - 西行

夕露の玉敷く小田の稲筵
かぶす穂末に月ぞ澄みける

夕露が玉を敷きつめたように置く田の、筵を敷いたように一面に実った稲の、重く垂れた穂先に、月が澄んで映っていることだ。

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山家集 - 西行

類なき心地こそすれ秋の夜の
月澄む嶺のさを鹿の声

ほかに比べるもののない心地がすることだ。秋の夜の、月が澄みわたる峰で鳴く牡鹿の声は。

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山家集 - 西行

木の間洩る有明の月のさやけきに
紅葉を添へて眺めつるかな

木々の間から漏れてくる有明の月の光が明るく澄んでいるところに、紅葉の色を添えて眺めたことだ。

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山家集 - 西行

竜田山月澄む嶺のかひぞなき
麓に霧の晴れぬ限りは

竜田山の、月の澄みわたる峰も、そのかいがない。麓に霧が立ちこめて晴れないかぎりは。

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山家集 - 西行

いにしへを何につけてか思ひ出でん
月さへ曇る世ならましかば

昔のことを何によって思い出せばよいのだろうか。もしも月までも曇ってしまう世であったならば。

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