古典和歌stream

山家集 - 西行

月宿る同じうき寝の波にしも
袖しをるべき契りありける

月が宿っている、同じ波の上の浮き寝の、つらい寝覚めでさえ、涙に袖を濡らすはずの宿縁があったことだ。

詳細を見る

山家集 - 西行

都にて月をあはれと思ひしは
数より外のすさびなりけり

都にいて月をしみじみとあわれだと思っていたのは、物の数にも入らない、ほんの慰みごとであったのだ。

詳細を見る

山家集 - 西行

沖かけて八重の潮路を行く船は
ほかにぞ聞きし初雁の声

沖をめざして幾重にも重なる潮路を行く船の上では、いつもとはまったく別の所で、初雁の声を聞いたことだ。

詳細を見る

山家集 - 西行

横雲の風に別るるしののめに
山飛び越ゆる初雁の声

横にたなびく雲が風に吹かれて山から離れていく明け方に、山を飛び越えていく初雁の声が聞こえる。

詳細を見る

山家集 - 西行

烏羽に書く玉章の心地して
雁鳴き渡る夕闇の空

黒い烏の羽に書いた手紙のように、文字の見分けにくい心地がして、雁が鳴きながら渡っていく夕闇の空である。

詳細を見る

山家集 - 西行

白雲を翼にかけて行く雁の
門田の面の友慕ふなり

白雲を翼に掛けるように空高く飛んでいく雁が、門前の田の面に降りている仲間を慕って鳴いているようだ。

詳細を見る

山家集 - 西行

玉章の続きは見えで雁がねの
声こそ霧に消たれざりけれ

手紙の文字のように連なって飛ぶ雁の列は霧に隠れて見えないが、雁の声だけは霧にかき消されなかったことだ。

詳細を見る

山家集 - 西行

空色のこなたを裏に立つ霧の
表に雁の掛くる玉章

空の色をしたこちら側を裏地として立ちこめる霧の、その表に、雁が列を掛けて記している手紙であるよ。

詳細を見る

山家集 - 西行

鶉鳴く折にしなれば霧こめて
あはれさびしき深草の里

鶉の鳴く季節になったので、霧が一面に立ちこめて、しみじみと寂しい深草の里であるよ。

詳細を見る

山家集 - 西行

名残多き睦言尽きて帰りゆく
人をば霧も立ち隔てけり

名残の尽きない親しい語らいもとうとう終わって、帰っていく人を、霧までもが立ちこめて隔ててしまったことだ。

詳細を見る

山家集 - 西行

立ちこむる霧の下にも埋もれて
心晴れせぬ深山辺の里

一面に立ちこめる霧の下にも埋もれてしまって、心が晴れることのない深山のほとりの里である。

詳細を見る

山家集 - 西行

夜をこめて竹の網戸に立つ霧の
晴ればやがてや明けんとすらん

まだ夜の深いうちから、竹で編んだ戸に立ちこめている霧が、晴れたならば、そのまま夜が明けようとするのだろうか。

詳細を見る

山家集 - 西行

しだり咲く萩の古枝に風かけて
すがひすがひに牡鹿鳴くなり

枝垂れて咲く萩の古い枝に風が吹きかかると、それに続いて次々に、牡鹿が鳴いているようだ。

詳細を見る

山家集 - 西行

萩が枝の露ためず吹く秋風に
牡鹿鳴くなり宮城野の原

萩の枝の露をとどめることなく吹き散らす秋風の中に、牡鹿の鳴く声が聞こえる、宮城野の原では。

詳細を見る

山家集 - 西行

夜もすがら妻恋ひかねて鳴く鹿の
涙や野辺の露となるらん

一晩じゅう、妻を恋しく思う心に堪えかねて鳴く鹿の涙が、野辺の露となっているのだろうか。

詳細を見る

山家集 - 西行

さらぬだに秋はもののみかなしきを
涙もよほすさを鹿の声

そうでなくてさえ、秋はただもの悲しいばかりなのに、さらに涙を誘う牡鹿の声であるよ。

詳細を見る