古典和歌stream

山家集 - 西行

世の中の憂きをも知らで澄む月の
影は我が身の心地こそすれ

世の中のつらさも知らずに澄んでいる月の光は、世を捨てたわが身のような心地がすることだ。

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山家集 - 西行

世の中は曇り果てぬる月なれや
さりともと見し影も待たれず

世の中はすっかり曇ってしまった月なのだろうか。それでもいつかはと期待して見ていた光も、もう待つ気になれない。

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山家集 - 西行

厭ふ世も月澄む秋になりぬれば
ながらへずはと思ふなるかな

いやだと思って厭うこの世でも、月の澄む秋になったので、生きながらえていなかったら、この月は見られなかったと思うことだ。

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山家集 - 西行

さらぬだに浮かれてものを思ふ身の
心を誘ふ秋の夜の月

そうでなくてさえ心が落ち着かず物思いをしている身の、その心をさらに誘い出す秋の夜の月であるよ。

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山家集 - 西行

捨てていにし憂き世に月の澄まであれな
さらば心のとまらざらまし

捨てて去った憂き世に、月が澄まないでいてくれればよいのに。そうすれば、心がこの世に引きとどめられることもないだろうに。

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山家集 - 西行

あながちに山にのみ住む心かな
誰かは月の入るを惜しまぬ

ひたすら月の沈む山にばかり心を寄せて住もうとする私の心であることよ。月の入るのを惜しまない人などいるだろうか。

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山家集 - 西行

ふりさけし人の心ぞ知られぬる
今宵三笠の月を眺めて

遠い異国で振り仰いで月を見たあの人の心が、おのずとわかったことだ。今宵、三笠山の月を眺めていて。

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山家集 - 西行

昼と見ゆる月に明くるを知らましや
時つく鐘の音せざりせば

昼かと見えるほど明るい月の光の中で、夜が明けたことを知ることができただろうか。時を告げる寺の鐘の音がしなかったならば。

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山家集 - 西行

かたそぎの行き合はぬ間より漏る月や
冴えて御袖の霜に置くらん

社殿の屋根の千木の片削ぎが行き合わない、そのすき間から漏れてくる月の光が、冷たく冴えて、神の御袖に霜となって置いているのだろうか。

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山家集 - 西行

波に宿る月を汀にゆりよせて
鏡にかくる住吉の岸

波に映っている月を、波打ち際へと揺り寄せて、鏡として掛けている住吉の岸であることよ。

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山家集 - 西行

飽かずのみ都にて見し影よりも
旅こそ月はあはれなりけれ

いつも見飽きることがないと思って都で見た月の光よりも、旅の空でこそ、月はしみじみと心にしみるものであった。

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山家集 - 西行

見しままに姿も影も変はらねば
月ぞ都の形見なりける

都で見たときのままに、姿も光も少しも変わらないので、月こそが都をしのぶ形見なのであった。

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山家集 - 西行

月はなほ夜な夜なごとに宿るべし
我が結びおく草の庵に

月はやはり、毎夜毎夜、宿ってくれることだろう。旅の途中で私が草を結んでこしらえておく仮の庵に。

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山家集 - 西行

波の音を心にかけて明かすかな
苫漏る月の影を友にて

波の音を心にかけて耳を傾けながら、夜を明かすことだ。苫葺きの屋根から漏れてくる月の光を友として。

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山家集 - 西行

もろともに旅なる空に月も出でて
すめや影のあはれなるらん

私とともに、旅の空に月も出てきて、澄んでいるからだろうか、その光がこれほどしみじみと心にしみるのは。

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山家集 - 西行

あはれ知る人見たらばと思ふかな
旅寝の床に宿る月影

ものの情趣を解する人がこれを見たならば、と思うことだ。旅寝の床に宿っている月の光を。

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