古典和歌stream

源氏物語 - 紫式部

鶯のこゑにやいとどあくがれん
心しめつる花のあたりに

鶯の声に、いよいよ心が浮き立つことでしょう。すでに心を染めてしまったこの花のあたりで。

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源氏物語 - 紫式部

色も香もうつるばかりにこの春は
花さく宿をかれずもあらなん

花の色も香も移り染むほどに、この春は、花の咲くこの宿を離れずにいてほしいものです。

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源氏物語 - 紫式部

うぐひすのねぐらの枝もなびくまで
なほ吹きとほせ夜はの笛竹

鶯のねぐらとする枝もなびくほどに、なおも吹き通してほしい、夜半の笛竹よ。

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源氏物語 - 紫式部

心ありて風の避くめる花の木に
とりあへぬまで吹きやよるべき

心あってか風も避けているらしい花の木に、鳥がいたたまれなくなるほどまで、笛を吹き寄せてよいものでしょうか。

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源氏物語 - 紫式部

かすみだに月と花とをへだてずは
ねぐらの鳥もほころびなまし

霞さえ月と花とを隔てずにいてくれたなら、ねぐらの鳥も、花のほころぶように鳴き出すことでしょうに。

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源氏物語 - 紫式部

花の香をえならぬ袖にうつしもて
事あやまりと妹やとがめむ

花の香を、なんともいえず結構な袖に移して持ち帰っては、間違いを犯したのだろうと、妻が咎めることでしょう。

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源氏物語 - 紫式部

めづらしと古里人も待ちぞみむ
花のにしきを着てかへる君

めずらしいことと、お里の人も待ち受けて見ることでしょう。花の錦を着て帰るあなたを。

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源氏物語 - 紫式部

つれなさはうき世のつねになりゆくを
忘れぬ人や人にことなる

あなたのつれなさは、つらいこの世の常のものになってゆくのに、忘れられずにいる私だけが、世の人とは違っているのだろうか。

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源氏物語 - 紫式部

かぎりとて忘れがたきを忘るるも
こや世になびく心なるらむ

こうするほかないといって、忘れがたい私のことを忘れてしまわれるのも、これが世間になびくお心というものなのでしょうか。

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源氏物語 - 紫式部

わが宿の藤の色こきたそかれに
尋ねやは来ぬ春のなごりを

わが家の藤の色が濃く映える黄昏どきに、春の名残をたずねて来てはくださらないだろうか。

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源氏物語 - 紫式部

なかなかに折りやまどはむ藤の花
たそかれ時のたどたどしくは

かえって手折るのに迷ってしまうでしょう、藤の花を。黄昏時のおぼつかない薄暗さでは。

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源氏物語 - 紫式部

紫にかことはかけむ藤の花
まつより過ぎてうれたけれども

紫の藤の花に、恨み言はかけることにしよう。松より高く伸びて咲きかかっているのはいまいましいけれども。

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源氏物語 - 紫式部

いく返り露けき春を過ぐし来て
花の紐解く折にあふらむ

幾たび涙にくれる春をすごしてきて、ようやく今、花の紐が解ける、その折にめぐりあうのでしょうか。

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源氏物語 - 紫式部

たをやめの袖にまがへる藤の花
見る人からや色もまさらむ

たおやかな乙女の袖と見まがう藤の花は、見る人によって、その色もいっそう美しくまさるのでしょう。

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源氏物語 - 紫式部

あさき名を言ひ流しける河口は
いかが漏らしし関の荒垣

浅はかな女だという評判を言い流した河口の、そのあなたの口は、どうやってあの関の荒垣を越えた一件を漏らしたのでしょう。

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源氏物語 - 紫式部

もりにける岫田の関を河口の
あさきにのみはおほせざらなん

漏れてしまった岫田の関のことを、河口が浅いからだと、私の口が軽いからだとばかり、責任をお負わせにならないでほしい。

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