古典和歌stream

源氏物語 - 紫式部

とがむなよ忍びにしぼる手もたゆみ
今日あらはるる袖のしづくを

お咎めくださいますな。これまで人目を忍んで袖をしぼってきましたが、その手もゆるんで、今日あらわに落ちる袖のしずくを。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

浅緑若葉の菊を露にても
濃き紫の色とかけきや

浅緑の若葉の菊を、ほんの露ほどでも、いつか濃い紫の色になろうとは、思いもかけただろうか。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

双葉より名だたる園の菊なれば
浅き色わく露もなかりき

双葉のころから名高い園の菊なのですから、浅い色と分ける露など、初めからありはしませんでした。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

なれこそは岩もるあるじ見し人の
ゆくへは知るや宿の真清水

お前こそはこの家を守る主だ。岩の間を漏れ流れる真清水よ、かつてここにいた人のゆくえを、お前は知っているだろうか。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

なき人のかげだに見えずつれなくて
心をやれるいさらゐの水

亡き人の姿さえ映して見せることもなく、素知らぬ顔で気持ちよさそうに流れている、浅い遣水の水ですこと。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

そのかみの老木はむべも朽ちぬらむ
植ゑし小松も苔生ひにけり

その昔の老木は、なるほど朽ちてしまったことだろう。当時植えた小松にさえ、今はもう苔が生えているのだから。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

いづれをも蔭とぞたのむ二葉より
根ざしかはせる松のすゑずゑ

お二人のどちらをも頼りといたしております。二葉のころから根を交わしあってきた松のような、そのお二人の行く末々までも。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

色まさるまがきの菊もをりをりに
袖うちかけし秋を恋ふらし

秋を経て色を増した籬の菊も、その折々に、袖をうちかけて舞ったあの秋を、恋しく思っているようだ。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

むらさきの雲にまがへる菊の花
にごりなき世の星かとぞ見る

紫の瑞雲と見まがうばかりの菊の花は、濁りなき御代に輝く星かと見えることです。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

秋をへて時雨ふりぬる里人も
かかるもみぢのをりをこそ見ね

帝位を去って幾度もの秋を経、時雨に古びてしまった里住まいの私も、これほど見事な紅葉の折には、まだ出会ったことがない。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

世のつねの紅葉とや見るいにしへの
ためしにひける庭の錦を

これを世の常の紅葉と御覧になりますか。昔の紅葉の賀の例にならって敷いた、この庭の錦を。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

さしながら昔を今に伝ふれば
玉の小櫛ぞ神さびにける

挿したままの姿で昔から今へと伝わってきたので、この玉の小櫛もすっかり古びて神々しくなったことだ。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

さしつぎに見るものにもが万世を
黄楊の小櫛の神さぶるまで

あなたに引き続いて、この子の幸いも見ていきたいものだ。万代の末まで、黄楊の小櫛が古び神々しくなるまでも。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

若葉さす野辺の小松を引き連れて
もとの岩根を祈る今日かな

若葉の芽ぐむ野辺の小松を引き連れて、もとの岩根の変わらぬ長久を祈る今日であることよ。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

小松原末のよはひに引かれてや
野辺の若菜も年をつむべき

小松原の行く先長い齢に引かれてか、野辺の若菜であるこの身も年を積み重ねていくのだろう。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

目に近く移れば変はる世の中を
行く末遠く頼みけるかな

目の前で移り変わっていく二人の仲であるのに、行く末は長いものと頼みにしていたことよ。

詳細を見る