古典和歌stream

源氏物語 - 紫式部

深山木にねぐら定むるはこ鳥も
いかでか花の色に飽くべき

深山の木に塒を定めているはこ鳥も、どうして花の色に飽きたりするだろうか。

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源氏物語 - 紫式部

よそに見て折らぬ嘆きはしげれども
なごり恋しき花の夕かげ

よそから見るばかりで手折ることのできない嘆きは深く茂るけれど、それでも名残の恋しい、あの花の夕影であることよ。

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源氏物語 - 紫式部

いまさらに色にな出でそ山桜
およばぬ枝に心かけきと

今になって顔色にお出しなさるな。手の届かない山桜の枝に心を寄せていたなどと。

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源氏物語 - 紫式部

恋ひわぶる人のかたみと手ならせば
なれよ何とて鳴く音なるらむ

恋しく思い悩んでいる人の形見と思って手なずけているのに、馴れよというのに、どうしてそんな声で鳴くのだろう。

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源氏物語 - 紫式部

誰れかまた心を知りて住吉の
神代を経たる松にこと問ふ

私のほかに誰がまた、昔のいきさつを知って、住吉の神代から立つ松に語りかけたりするだろうか。

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源氏物語 - 紫式部

住の江をいけるかひある渚とは
年経る尼も今日や知るらむ

住の江を、生きてきた甲斐のあった渚だと、年老いた尼も今日こそ知ることだろう。

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源氏物語 - 紫式部

昔こそまづ忘られね住吉の
神のしるしを見るにつけても

昔のことがまず忘れられない。住吉の神の霊験を目の当たりにするにつけても。

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源氏物語 - 紫式部

住の江の松に夜深く置く霜は
神の掛けたる木綿鬘かも

住の江の松に夜深く置いた霜は、神がお掛けになった木綿鬘なのだろうか。

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源氏物語 - 紫式部

神人の手に取りもたる榊葉に
木綿かけ添ふる深き夜の霜

神に仕える人が手に取り持っている榊の葉に、木綿を掛け添えたような、夜深い霜であることよ。

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源氏物語 - 紫式部

祝子が木綿うちまがひ置く霜は
げにいちじるき神のしるしか

神職の掛けた木綿と見まがうばかりに置いた霜は、なるほどはっきりとした神の霊験であろうか。

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源氏物語 - 紫式部

起きてゆく空も知られぬ明けぐれに
いづくの露のかかる袖なり

起きて帰っていく先も分からない夜明けの薄暗がりに、どこの露がかかってこのように袖が濡れるのだろう。

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源氏物語 - 紫式部

明けぐれの空に憂き身は消えななむ
夢なりけりと見てもやむべく

夜明けの薄暗い空に、このつらい身は消えてしまってほしい。夢だったのだと思って終わりにできるように。

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源氏物語 - 紫式部

悔しくぞ摘み犯しける葵草
神の許せるかざしならぬに

悔しくも摘み取って罪を犯してしまった葵草であるよ。神が許した挿頭でもないのに。

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源氏物語 - 紫式部

もろかづら落葉を何に拾ひけむ
名は睦ましきかざしなれども

諸葛の中から、どうして落葉のほうを拾ってしまったのだろう。名は睦まじい挿頭ではあるけれど。

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源氏物語 - 紫式部

わが身こそあらぬさまなれそれながら
そらおぼれする君は君なり

私の身こそ変わり果てた姿になってしまったが、それでいて知らぬふりをするあなたは、昔のままのあなただ。

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源氏物語 - 紫式部

消え止まるほどやは経べきたまさかに
蓮の露のかかるばかりを

消えずにとどまっている間さえ、どれほどもあるまい。たまたま蓮の露がこのようにかかっているだけの命なのだから。

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