古典和歌stream

源氏物語 - 紫式部

世を別れ入りなむ道はおくるとも
同じところを君も尋ねよ

この世を離れて入っていく仏の道は、私より遅れることになっても、同じ極楽の所をあなたも求めてきなさい。

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源氏物語 - 紫式部

憂き世にはあらぬところのゆかしくて
背く山路に思ひこそ入れ

つらいこの世ではない所が慕わしくて、世を背いた山路に、私も思いを入れているのです。

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源氏物語 - 紫式部

憂き節も忘れずながら呉竹の
こは捨て難きものにぞありける

つらい事情も忘れないままではあるが、この子はやはり捨てがたいものであったよ。

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源氏物語 - 紫式部

ことに出でて言はぬも言ふにまさるとは
人に恥ぢたるけしきをぞ見る

言葉に出して言わないのが、言う以上にまさるというのは、人に恥じらっているそのご様子に見て取れる。

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源氏物語 - 紫式部

深き夜のあはればかりは聞きわけど
ことより顔にえやは弾きける

夜の深い風情だけは聞き分けたけれど、思いを顔に出すように琴を弾くことなどできようか。

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源氏物語 - 紫式部

露しげきむぐらの宿にいにしへの
秋に変はらぬ虫の声かな

露の深く置く葎の宿に、昔の秋と変わらない虫の声が聞こえることよ。

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源氏物語 - 紫式部

横笛の調べはことに変はらぬを
むなしくなりし音こそ尽きせね

横笛の調べは特に変わらないけれども、亡くなった人を悼んで泣く声のほうは尽きることがない。

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源氏物語 - 紫式部

笛竹に吹き寄る風のことならば
末の世長きねに伝へなむ

笛竹に吹き寄る風が同じことであるなら、末長く続く子孫にこそ伝えてほしいものだ。

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源氏物語 - 紫式部

蓮葉を同じ台と契りおきて
露の分かるる今日ぞ悲しき

来世は同じ蓮の台に生まれようと約束しておきながら、その葉の露のように離れ離れでいる今日が悲しい。

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源氏物語 - 紫式部

隔てなく蓮の宿を契りても
君が心や住まじとすらむ

隔てなく同じ蓮の宿にいようと約束しても、あなたの心はそこに住もうとはしないのだろう。

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源氏物語 - 紫式部

おほかたの秋をば憂しと知りにしを
ふり捨てがたき鈴虫の声

だいたい秋というものはつらいと知ってしまったけれど、振り捨てがたいのは鈴虫の声だ。

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源氏物語 - 紫式部

心もて草の宿りを厭へども
なほ鈴虫の声ぞふりせぬ

自分の心から草の宿りを厭って捨てたけれども、それでもやはり鈴虫の声だけは古びることがない。

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源氏物語 - 紫式部

雲の上をかけ離れたるすみかにも
もの忘れせぬ秋の夜の月

宮中の雲の上を遠く離れた住まいにも、忘れずに訪れてくれる秋の夜の月であることよ。

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源氏物語 - 紫式部

月影は同じ雲居に見えながら
わが宿からの秋ぞ変はれる

月の光は昔と同じ空に見えているけれど、わが宿のありようによって、秋のさまは変わってしまった。

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源氏物語 - 紫式部

山里のあはれを添ふる夕霧に
立ち出でむ空もなき心地して

山里のしみじみとした風情をいっそう添える夕霧のせいで、立ち出て帰っていく気持ちにもなれない。

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源氏物語 - 紫式部

山賤の籬をこめて立つ霧も
心そらなる人はとどめず

山里の粗末な垣根をこめて立ちこめる霧も、心が上の空である人を引き止めはしない。

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