- 表題
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- 金葉和歌集
金葉和歌集 - 藤原忠通
逢ふこともなごえにあさる葦鴨の
うき寝をなくと人は知らずや
逢うこともないまま、奈呉江で餌をあさる葦鴨が水に浮いて寝ながら鳴くように、私がつらいひとり寝に泣いているとは、あの人は知らないのだろうか。
名に立てるあはでの浦のあまだにも
みるめはかづくものとこそ聞け
逢わないという名で知られたあはでの浦の海人でさえも、海松布は潜って採るものだと聞いている。それなのに私はあの人に逢う機会さえない。
四方の海の浦々ごとにあされども
あやしく見えぬいけるかひかな
四方の海の浦々をくまなく探しまわっても、貝が見つからないように、不思議なことに見つからない、生きている甲斐であることよ。
名きくよりかねても移る心かな
いかにしてかは逢ふべかるらむ
名を聞いただけで、菊の色が移ろうように、前もって移ってしまう心であることよ。どのようにしたら逢うことができるのだろうか。