- 表題
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- 古今和歌集
古今和歌集 - 在原元方
音羽山音に聞きつつ逢坂の
関のこなたに年を経るかな
音羽山の名のように、あの人の噂ばかりを聞きながら、逢うという名の逢坂の関のこちら側で、逢えないまま年月を過ごしていることだ。
古今和歌集 - 在原元方
立ち帰りあはれとぞ思ふよそにても
人に心をおきつ白波
沖の白波が寄せては返すように、繰り返し、しみじみといとしいと思う。遠く離れていても、あの人に心を置いてしまったのだから。
古今和歌集 - 紀貫之
世の中はかくこそありけれ吹く風の
目に見ぬ人も恋しかりけり
男女の仲というものはこういうものだったのだ。吹く風のように目に見えない、逢ったこともない人までも恋しく思われることだ。
古今和歌集 - 在原業平
見ずもあらず見もせぬ人の恋しくは
あやなく今日やながめ暮らさむ
見なかったわけでもなく、かといってはっきり見たわけでもない人が恋しいので、わけもなく今日はぼんやりと物思いにふけって過ごすのだろうか。
古今和歌集 - よみ人しらず
知る知らぬなにかあやなくわきて言はむ
おもひのみこそしるべなりけれ
知っているとか知らないとか、どうしてわけもなく区別して言うのでしょう。ただ恋の思いの火だけが、道しるべとなるのですよ。
古今和歌集 - 凡河内躬恒
初雁のはつかに声を聞きしより
中空にのみ物を思ふかな
初雁の声をほんのわずかに聞くように、あの人の声をかすかに聞いてからというもの、雁が空の中ほどを渡るように、上の空で物思いばかりしていることだ。
古今和歌集 - 紀貫之
逢ふことは雲居はるかになる神の
音に聞きつつ恋ひわたるかな
逢うことは雲の彼方のように遥か遠くなってしまい、その遥かな空に鳴る雷の音のように、噂にばかり聞きながら恋い続けていることだ。
古今和歌集 - よみ人しらず
片糸をこなたかなたに縒りかけて
あはずは何を玉の緒にせむ
片糸をこちらとあちらから縒り合わせるように、互いに寄り添って逢うことがなかったら、いったい何を命をつなぐ玉の緒にすればよいのか。
古今和歌集 - よみ人しらず
刈り菰の思ひ乱れて我恋ふと
妹知るらめや人し告げずは
刈り取った真菰が乱れるように、心乱れて私が恋い慕っていると、あの子は知っているだろうか。誰かが告げなければ、知るはずもない。