古典和歌stream

源氏物語 - 紫式部

いにしへの秋さへ今の心地して
濡れにし袖に露ぞおきそふ

昔の秋のことまでが今のことのような心地がして、涙に濡れたままの袖に、さらに露が置き添うことだ。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

露けさは昔今ともおもほえず
おほかた秋の夜こそつらけれ

涙に濡れることは、昔とも今とも区別して思われない。だいたい秋の夜というものが、つらいのだ。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

枯れ果つる野辺を憂しとや亡き人の
秋に心をとどめざりけむ

枯れ果てていく野辺をつらいと思ってか、亡くなったあの方は、秋に心をとどめなかったのだろうか。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

昇りにし雲居ながらもかへり見よ
われ飽きはてぬ常ならぬ世に

煙となって昇っていった雲の上からでも、こちらを振り返って見てほしい。私はこの無常の世にすっかり飽き果ててしまった。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

わが宿は花もてはやす人もなし
何にか春のたづね来つらむ

私の家には花を喜んでくれる人もいない。それなのに、どうして春は訪ねてきたのだろう。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

香をとめて来つるかひなくおほかたの
花のたよりと言ひやなすべき

香りを求めて訪ねてきた甲斐もなく、ありふれた花見のついでに来たと言われてしまうのだろうか。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

憂き世には雪消えなむと思ひつつ
思ひの外になほぞほどふる

つらいこの世から雪のように消えてしまいたいと思いながら、思いのほかに、まだこうして日を送っていることだ。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

植ゑて見し花のあるじもなき宿に
知らず顔にて来ゐる鴬

植えて眺めた花の主人ももういない家に、知らぬ顔をしてやって来て鳴いている鴬であることよ。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

今はとて荒らしや果てむ亡き人の
心とどめし春の垣根を

いよいよこれが最後だと出家してしまえば、すっかり荒れ果てさせてしまうのだろうか。亡き人が心を寄せていた春の庭の垣根を。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

なくなくも帰りにしかな仮の世は
いづこもつひの常世ならぬに

泣きながらも帰ってきてしまったことだ。この仮の世は、どこもかしこも永遠の住まいではないのだから。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

雁がゐし苗代水の絶えしより
映りし花の影をだに見ず

雁がいた苗代の水が絶えてしまってからは、そこに映っていた花の影さえ見ることがない。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

夏衣裁ち替へてける今日ばかり
古き思ひもすすみやはせぬ

夏の衣に裁ち替えた今日ぐらいは、昔のことを思い出す気持ちも進んではこないだろうか。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

羽衣の薄きに変はる今日よりは
空蝉の世ぞいとど悲しき

羽衣のように薄い衣に変わる今日からは、蝉の抜け殻のようなこの世が、いっそう悲しく感じられる。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

さもこそはよるべの水に水草ゐめ
今日のかざしよ名さへ忘るる

いかにも、神に供える寄る辺の水に水草が生えるほど久しくお見えにならないのだから仕方ないが、今日の挿頭の名までお忘れとは。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

おほかたは思ひ捨ててし世なれども
葵はなほや摘みをかすべき

だいたいのものは思い捨ててしまったこの世だけれども、葵だけはやはり摘んで罪を犯してしまうべきだろうか。

詳細を見る

源氏物語 - 紫式部

亡き人を偲ぶる宵の村雨に
濡れてや来つる山ほととぎす

亡き人を偲んでいる今宵の村雨に濡れながらやって来たのか、山のほととぎすよ。

詳細を見る